花巻東・佐々木麟太郎 手本はボンズ 1年生で早くも50本塁打の怪物の進化論
2022年01月13日 05:30
野球
近年は母校の先輩・大谷翔平(エンゼルス)のような例外もいるが、従来の日本の打者は足を高く上げて打球の飛距離を出してきた。通算868本塁打を記録した「一本足打法」の王貞治(元巨人、現ソフトバンク球団会長)が筆頭だ。佐々木麟も元々は同様で「金ケ崎リトルシニア」でプレーしていた中学2年冬までは足を高く上げていたが、当時を「元々、体は大きい方で飛距離はあったけど、試合ではコンタクトできていなかった」と振り返る。
確実性の低い打撃に悩んでいた。そんな時に父である佐々木洋監督から、ボンズの動画を参考にするよう助言を受けた。年間73本塁打、通算762本塁打の大リーグ記録を持つレジェンド。現役最終年の07年当時は2歳だった佐々木麟は「現役時代のプレーは見たことがなかったです」と言う。しかし「もっとレベルを上げたい」という向上心からフォーム改造に踏み出した。
まずはタイミングの取り方に着手。ボンズはグリップを小刻みに動かして投手との間合いをはかる。グリップを動かさずに「静から動」のフォームだった佐々木麟だがの構えの段階でグリップを動かし「動から動」の形に変更。「動かした時の方が断然タイミングが取れる。ボールに合わせられるのは自分の中で大きいですね。あそこでタイミングを取りつつ、最後にヒッチ(トップをつくる前のグリップを上下させる動作)で合わせる。自分の中で大事なところになっています」と解説する。
次に元々、高く上げてから踏み込んでいた右足の使い方にもメスを入れた。「打つ時に無駄な動きをつくりたくないので、あまり足を上げたくない。昔はしていたんですけど、体にブレが出る。自分の中であまり良い印象がなかった」。体重移動していく部分については「ここはいかに小さくポイントに運ぶか」。体の上下動は軽減され、頭の位置を変えないことが確実性アップにつながった。
インパクト後も顔を残すようにしたことで、フォームはよりボンズに近づいた。「トータル的に参考にさせていただいて、自分の中では一気に変わった。“コンタクト”と“コンパクト”を大事に振っています」。「ボンズメソッド」で確実性を高めた大器。最高の「教科書」との出合いが高校野球史上、かつてないペースのアーチ量産を生んでいる。
昨年4月から11月の期間で刻んだ50発。「本当にこれくらいの数を打てるとは思っていなかった」と本人も驚きを隠せない。出場が確実視されているセンバツの開幕は3月18日。初の甲子園に向けて「自分の責任を果たすことが目標。チームとしては日本一を獲るためにやっていくだけ」。高校球界を騒がせている「日本のボンズ」が、聖地でその打棒を披露する。
▽バリー・ボンズの打撃理論 16年にマーリンズで打撃コーチを務めた際には「打撃は打つ前に腹部が投手方向に向いたら終了」と説明。上半身を最後まで残してボールを捉えるフォームのバランスを追求し、自身は小さなステップに行き着いた。コンパクトなスイングで強く叩くために、バットをやや短く持ってステップ幅を小さくし、体の軸回転で捉えるフォームを完成させた。ヒッチの動作に関しては、昨年放送されたテレビ番組のインタビューで「手(グリップ)を引くことで体にパワーをためられる」と語っている。
◇佐々木 麟太郎(ささき・りんたろう)2005年(平17)4月18日生まれ、岩手県出身の16歳。幼少時から「江釣子スポーツ少年団」で野球を始め、江釣子中では金ケ崎リトルシニアに所属。花巻東では1年春からベンチ入り。1メートル84、117キロ。右投げ左打ち。
≪現在50本塁打 昨年12月肩手術も経過良好≫花巻東のグラウンドが雪で覆われる冬の練習期間。佐々木麟は体のケアに専念している。昨年10月の東北大会後に判明した左すねの疲労骨折は1月中に完治が見込まれ「少しずつやっていければ」と話す。中学2年時から腕や手にしびれが生じていたという「胸郭出口症候群」で昨年12月に両肩を手術。現在は軽めのティー打撃や肩のストレッチなどのメニューをこなす。キャッチボールは2月に再開予定で通常メニュー復帰はセンバツ直前の予定。十分な準備期間はないが「長い目で見てこのタイミング。この冬はしっかり肩を治したい」と前を向く。
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