村田に早くもV2戦浮上、五輪決勝の相手 問われるその勝ち方

2018年01月27日 10:00

格闘技

村田に早くもV2戦浮上、五輪決勝の相手 問われるその勝ち方
笑顔で初防衛戦のファイティングポーズをとる村田(左)とブランダムラ Photo By スポニチ
 4月15日に横浜アリーナでの初防衛戦が発表されたばかりのボクシングWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32=帝拳)に、早くもV2戦の計画が明らかになっている。プロモート契約を結ぶ米トップランク社のモレッティ副社長がスポーツ専門局ESPNに明かしたもので、7月14日(日本時間15日)に米ラスベガスを予定。相手は同じトップランク社の契約選手で、12年ロンドン五輪決勝で村田と戦ったエスキバ・ファルカン(28=ブラジル)になる見通しという。
 ファルカンは村田より半年遅い14年2月のプロデビューで19戦全勝(13KO)。3月10日(同11日)に初の10回戦(米カリフォルニア州カーソン)をフランス人選手と戦い、クリアすることが「7・14」への出場条件となる。ロンドン五輪決勝は減点2を受けた上で1点差負けしただけに、「リベンジしたい。村田は五輪での泥棒のツケを払うことになる」と息巻いていると伝えられる。実現すれば話題を集めそうな「五輪決勝の再現」は、トップランク社のボブ・アラム・プロモーターが村田の王座奪取前から構想を口にしていたもの。ESPNが全米生中継するメインカードで、勝者を次世代のミドル級のスター候補にしたいのだろう。

 そのESPNは村田に関する記事で「secondary 160―pound belt」という表現を使う。ミドル級(体重のリミットは160ポンド)の3団体統一世界王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)がWBAでは「スーパー王者」のため、「正規王者」の村田は“第2王者”とハッキリ記しているわけだ。ゴロフキンが元正規王者ダニエル・ジェイコブス(米国)を破って空位となった王座を村田とアッサン・エンダム(フランス)が決定戦で争ったわけだから手続き的には問題はなく、堂々としていればいいのだが、日本のボクシングファンとしては何とも歯がゆい表現と言える。

 村田が“第2”の肩書きを取るにはまず、5月5日に計画されているゴロフキン―サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)の再戦の結果を待つ必要がある。昨年9月に引き分けている両者の今回の契約には再戦条項がつかない予定で、決着がつけばミドル級は新たな展開を迎える。その際に村田自身が「海外では“ムラタって誰だよ”というレベル」と話すポジションから脱していなければ、ビッグマッチを実現する流れには乗っていけない。だからこそ元欧州王者エマヌエーレ・ブランダムラ(38=イタリア)を迎える初防衛戦と、特にラスベガスが計画されているV2戦では、単なる防衛成功ではなく勝ち方が問われる。

 村田は22日に開かれた初防衛戦の発表会見で「防衛戦が難しいと言われる一番の原因はハングリーさを失うこと」と話していた。だが、決して満足できない世界王者のポジションにいると自身が理解している限り、その心配はなさそうだ。初防衛戦の相手が有名な選手ではないことに不満を示すファンもいるようだが、村田だってプロではまだ14戦。防衛回数や複数階級制覇など数字で証明するものとは異なる、世界での地位向上を目指す戦いがこれから始まる。(専門委員・中出 健太郎)

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