リングでTVカメラにニコッ 拳四朗 自然体から生まれる“別次元の強さ”
2018年05月30日 11:10
格闘技
ボクサーにとって負けることの次に辛いのが減量。誰もが計量前はピリピリし、人を寄せ付けない雰囲気になるが、拳四朗は報道陣にそういう姿を見せない。いつものように好きな食べ物やファッションの話に熱中する。雪国の人が春の訪れを待つながら厳しい冬を耐えるように、楽しいことを考えて辛い時間をやり過ごす。そういう芯の強さも持ち合わせている。
もちろん、メンタル面の強さだけで世界王者になれるほど甘い世界ではない。元東洋太平洋ライトヘビー級王者でもある父・寺地永会長から受け継いだ才能、そして父と二人三脚で鍛え上げた肉体と技術があるからこそ13戦13勝7KOという結果を残せている。今回の防衛戦では前王者ガニガン・ロペス(36=メキシコ)を一撃でKO。パワフルさはなくても「タイミングと当てる場所」によって一発で倒せることを証明してみせた。
3度の防衛は現役の日本人世界王者では最多。「長く愛されるチャンピオンでいてほしい」という父の願いもあり、当面は防衛回数を重ねていくことが目標となる。本人はまだ知名度が低いことを嘆いているが、その魅力的な“拳四朗スマイル”を見せ続けて日本のボクシング界を盛り上げていってほしい。(大内 辰祐)