なぜボクシングジムは休業要請継続なのか?納得できない“線引き”

2020年05月24日 09:30

格闘技

なぜボクシングジムは休業要請継続なのか?納得できない“線引き”
後楽園ホール Photo By スポニチ
 プロボクサーにとって練習は「不要不急」か? 答えはNOだ。報酬が発生するのは試合のみだが、練習も仕事であり、日々の積み重ねが試合で結果を出すためには絶対に不可欠。しかし、ボクサーたちの練習の場であるボクシングジムは、世間的には「不要不急」の施設という認識なのだろうか。
 東京都は首都圏の緊急事態宣言が解除されれば、外出自粛や休業要請を段階的に緩和する方針を示した。公表されたロードマップ(工程表)によると、ボクシングジムを含めスポーツジムは、接待を伴う飲食店やライブハウスなどとともにステップ3まで進んでも「×=使用不可」とされている。クラスター発生歴のある施設などは制限緩和の明確な基準が示されず、今後の国の対処方針などの状況を踏まえて対応を検討するという。

 あるジム関係者は「ボクシングジムってキャバクラとかと同じなんですかね」と嘆く。そういう“位置付け”での判断ではないだろうが、大きな痛手を受けることだけは確かだ。現在、首都圏の多くのジムは5月末まで一般営業を休止し、プロ選手の練習にも制限を設けている。6月1日以降の一般営業の再開を目指していたが、現状は不透明なままだ。

 興行については、ステップ1で屋内運動施設の使用が観客席部分を除いて可能となるため、無観客なら実施できる。ステップ3まで進めば、1000人までのイベントも可能となる。ロードマップは4段階で、現在の段階をステップ0とし、緊急事態宣言が解除されれば、ステップ1、その後は2週間単位をベースに状況を評価して次のステップに進む。順調なら6月中にステップ3まで進むことになり、7月の興行再開に向けての“出口”は見えてきたと言える。

 問題となるのは選手の練習環境だろう。単にジム側がプロ選手に使用を認めれば、解決するものではない。トレーナーも必要だし、実戦練習を行うためにはスパーリングパートナーも必要。全てはジム存続が大前提となる。大きな収入の柱である一般会員からの会費を得られないままでは、ジム経営は相当厳しい。実際、ジムオーナーらで組織する日本プロボクシング協会(JPBA)には4月の段階で“悲痛な叫び”が届き、花形進会長も「この状況が2、3カ月が続くと、やめるところが出てくる」と危ぶんでいた。

 JPBAは2度に渡って加盟ジムへ支援金を支給。また、日本ボクシングコミッション(JBC)と協力して通常営業に向けて統一ガイドラインを策定しし、行政に安全性を訴えていくことを決めた。フィットネス系のスポーツジム業界でも同様の動きがあり、国に判断によっては救済の可能性もゼロではないが、先に緊急事態宣言が解除された大阪、京都、兵庫の3府県でもスポーツジムなどは休業要請が継続されている。その一方でパチンコ店など大規模遊興施設は条件付きながら休業要請の対象から外れた。

 コロナ禍の終息させるために、全てをすぐに規制緩和できないことは理解している。ボクシングに限らず、他の格闘技や他のスポーツも似たような境遇かもしれない。ただ、ボクサーたちが人の少ない時間帯を選んでロードワークを行い、自宅や公園などで工夫しながら黙々と練習を続けてきたことを知る立場としては、パチンコがOKで、ボクシングジムはNOという線引きは納得できない。(記者コラム・大内 辰祐)

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