興行再開も…最悪のタイミングで集団感染発生 ボクシング界にとって今は“我慢の時”
2020年07月26日 08:30
格闘技
3月から自粛が続いていた国内のプロボクシング興行はようやく再開されたばかり。同ジムでのクラスター発生の影響もあって25日に神戸で行われた興行は有観客から無観客に直前で変更された。ある意味、最悪のタイミングでの感染拡大となってしまった。
ボクシングはコンタクトスポーツであり、さらにジムは環境的に“三密”になりやすい。プロとは言え、大半がボクシング以外の仕事に就いているため、外部からのウイルス侵入も完全に封じることも難しい。いつクラスターが発生しても不思議ではなかったが、それを防いでいたのは業界が一丸となっての地道な取り組みであり、ボクサー一人一人の努力だった。
一般的には「ボクサー=ストイック」というイメージが強いと思う。もちろん全員が同じようにストイックなはずはなく、試合が終われば“弾ける”選手も少なくない。それでも試合前には、ほぼ全員が減量するため、自己管理能力が求められるし、健康に関しての意識が高く、知識も豊富。興行再開にあたって何人かの選手を取材したが、神経質過ぎると思えるほど感染予防を徹底していた。ようやく興行が再開し、観客を入れての興行へと進んでいる段階だっただけに、ジムで集団感染が発生したことは残念でならない。
今回の大阪府のジムでのクラスターは感染源や経緯が明らかになっていないが、世間の感染拡大と同様に気の緩みが要因の一つであったことは否定できない。ただ、ほとんどのボクシング関係者は現在も細心の注意を払い、コロナという見えない敵と闘い続けている。感染予防と経済活動を両立させる難しさはボクシング業界も同じ。この状況がいつまで続くのか不安はある。ようやく見えてきたトンネルの出口が再び遠ざかるような状況になってしまったが、今が“我慢の時”なのだと思う。(記者コラム・大内 辰祐)