井岡一翔 フランコ再戦から“深み”増したスタイルで3度目統一戦へ 5・6世界再挑戦“弟分”にもエール

2024年05月03日 09:00

格闘技

井岡一翔 フランコ再戦から“深み”増したスタイルで3度目統一戦へ 5・6世界再挑戦“弟分”にもエール
<ボクシング 井岡 会見>会見に臨む井岡(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 【WBA&IBF世界スーパーフライ級王座統一戦   井岡一翔<12回戦>フェルナンド・マルティネス ( 2024年7月7日    両国国技館 )】 世界4階級制覇王者でWBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(35=志成)が、7月7日に東京・両国国技館でIBF世界同級王者フェルナンド・マルティネス(32=アルゼンチン)との2団体王座統一戦に臨む。かねて対戦を熱望してきたWBC世界同級王者フアンフランシスコ・エストラダ(34=メキシコ)との統一戦が次戦で消滅した中で戦い続ける理由とは。5月6日に世界再挑戦する“弟分”でWBA世界バンタム級1位の石田匠(32=井岡)への思いも語った。
 自身3度目の王座統一戦。井岡にとっては勝てば初めてのIBFベルト獲得となる。「IBFのベルトももちろんですが、一番は統一戦ができる喜びと、マルティネス選手と戦えること。この階級では2度目の統一戦。何度もチャンスが巡ってくる訳ではないので特別な試合になる。またこの統一戦にたどり着けた、そこの喜びが大きいです」

 22年大みそか、WBA世界スーパーフライ級王者ジョシュア・フランコ(米国)戦がドローに終わり統一に失敗したが、あの一戦が“分岐点”になったことを強調する。「フランコ戦では白黒はっきり出るような、自分が勝てるような試合ができればよかった。気持ちとしてすっきりしない部分はあったが、そこからどうするかを考えてこの日にたどり着けた。前回の経験をしっかり生かして今に至っている」

 23年6月、フランコとの再戦で3―0判定勝ちし、WBA世界同級王座を獲得。初防衛戦となった昨年大みそかには同級8位ホスベル・ペレス(ベネズエラ)に7回KO勝ち。序盤からアグレッシブに打ち合う“らしからぬ”スタイルを披露した。「スタイルを変更したというより、自分が考えるボクシングを新たな角度から見られた。22年のフランコ戦でドローになって、翌年のダイレクトリマッチでいろいろなことを考えた。対峙(たいじ)した時にその距離を譲って後ろで展開するのではなく、自分で間合いをつくると考えた時に、それがフランコとのダイレクトリマッチから前回の大みそかにかけて、今まで以上に自分のボクシングスタイルとして落とし込めた。スタイルの改善というかは、より深みを増せた」。20年大みそかの田中恒成(畑中)戦以来、約3年ぶりのKO勝利は必然だった。18年の現役復帰から23年フランコとの再戦までの過程は、キャリア最高の状態だったことを明かす。

 次戦の相手、マルティネスは16戦全勝(9KO)のファイタータイプ。先月22日の会見時には来日し「井岡のスタイルは好きだ。血を見る戦いになる」と打ち合いを予告した。井岡は「相手の特徴やスタイルをチームで見て、これからプランを立てる。アルゼンチンの選手は頑丈でファイターの選手が多いイメージはある」と警戒した上で「彼が得意とする距離で打ち勝って、その中で最終的にKOができたらいい」と早くも真っ向勝負の構えを見せる。

 当初、次戦はかねて対戦を熱望するWBC同級王者エストラダとの統一戦の予定だった。陣営は交渉を続けてきたが金銭面で折り合わず、エストラダは6月にジェシー・ロドリゲス(米国)と対戦することが決まった。それでも井岡のモチベーションが下がることはなかった。「理想はやっぱりエストラダ選手と試合できることがベストですが、戦っていく中でやり続ける大事さを凄く実感している。やり続けた先に何があるのかを、僕は見せていかないといけないと思う。日本を生きる次世代の方たちにそういう挑戦とか戦い続ける姿を見せられたら一つのメッセージになると思う。エストラダ戦が消滅しても気持ちとしては落ちることもない。世界チャンピオンという立場でやり続けることが使命」。井岡にとって戦い続ける理由は明白だ。

 井上尚弥VSルイス・ネリ(メキシコ)戦を含む5月6日の4大世界戦では“弟分”の石田匠が世界再挑戦する。石田にとって井岡は小6で井岡ジムに入門してから背中を追い続ける憧れの存在。井岡は「子供の頃から彼とはずっと一緒にいて、家族のような存在」と話す一方で17年末に現役引退し、大阪から拠点を移して以降は連絡を取り合っていない。「僕の認識としては僕が元々いた場所で今、彼は頑張っている。だからこそ軽はずみに連絡をしてはいけない思いがあるし、そこを出た人間としてはそこで頑張ってる人間に対して何か言ったりするのは失礼だと思った。けんかしたとか疎遠になったとかではないですよ」。優しい表情を浮かべながらともに汗を流した日々を振り返った。

 石田は2度目の世界戦でWBA世界バンタム級王者・井上拓真(28=大橋)に挑戦する。「もちろん石田選手を応援します。やっぱり彼が子どもの頃から見ているので。ずっと世界チャンピオンになるために切磋琢磨(せっさたくま)してきた。みんなできつい練習をして、横を向いた時に同じことを彼がしているわけじゃないですか。やっぱり彼に対しても敬意があるし、だからこそ結果を残してほしい。一度負けて、そこからまたこのチャンスがきた。ましてや相手が井上尚弥選手の弟、拓真選手で東京ドームでの試合。そこで世界チャンピオンになったら、彼がやってきたことの全て報われると思う。新たな景色が見えると思うし、人生を変えてほしいですよね」。そう話す井岡の表情は、リング上では想像もできないほど穏やかだった。

 井岡―マルティネスの統一戦はABEMAで独占無料生中継される。

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