井上尚弥、最強奪回 PFP1位に2年ぶり返り咲き 選定委員が解説「決め手はアクティビティーの違い」

2024年05月11日 04:35

格闘技

井上尚弥、最強奪回 PFP1位に2年ぶり返り咲き 選定委員が解説「決め手はアクティビティーの違い」
井上尚弥 Photo By スポニチ
 米国で最も権威のあるボクシング専門誌「ザ・リング」が9日、全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」を更新し、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)が約2年ぶりに1位に返り咲いた。6日に東京ドームでルイス・ネリ(29=メキシコ)相手に6回TKO勝ちし、再び「最強」の評価を得た「モンスター」。同誌でランキング選定委員を務めるスポニチ本紙通信員のスポーツライター・杉浦大介氏が、多くの支持を得た井上の凄さを解説した。
 今回のトップ争いは前週まで1位だったテレンス・クロフォードと2位だった井上の一騎打ちとなった。ネリを6回TKOで葬ったばかりの井上が現地9日夜の時点での1位票で8―3と大差でリード。まだ世界各国のランキング選定委員(パネリスト)の全員が投票したわけではなかったが、逆転は不可能となったためにリング誌は“井上王座返り咲き”の発表に踏み切った。

 井上1位の決め手となったのはアクティビティー(試合頻度)の違いだった。「クロフォードはこの4年間で4戦。井上は同じ期間で8戦を行い、1年強で2つの階級を統一した。しかも井上の過去3戦の相手は全てリング誌のスーパーバンタム級ランキングでトップ5にランクされる選手たちだった」。米国人のパネリスト、マイケル・モンテロ氏のそんな説明を聞けば、井上がより頻繁にリングに立ち、上質な実績を積み重ねてきたことが見えてくる。

 昨年7月、クロフォードはエロール・スペンスを、井上はスティーブン・フルトンをそれぞれ完璧な形でKO。その際は対戦相手の格もあってクロフォードが1位に推されたが、以降一度もリングに立っていない。8月に次戦が内定しているが、1年以上、試合から遠ざかることになる。

 一方、井上は昨年12月にマーロン・タパレス、先日はネリと階級トップクラスの選手を連続KO。短期間でバンタム、スーパーバンタム級の4団体統一を果たし、圧倒的なKO劇を続ける“モンスター”が評価されたのは当然だろう。19年以降、パネリストを務める筆者もまさにその理由で井上1位に票を投じた。

 その他、スコットランドのトム・グレイ氏はネリ戦でダウンから立ち直ったあとの井上の適応能力を、アルゼンチンのディエゴ・モリーリャ氏は破壊力満点の試合をするパワーと度胸を特筆していた。もちろん試合頻度だけではなく、これだけ多くの選者から支持されたのは総合力が評価されたからに他ならない。(リング誌ランキング選定委員、スポーツライター)

 ▽パウンド・フォー・パウンド(PFP) 1922年に創刊された米国で最も歴史と権威を持つリング誌の初代編集長ナット・フライシャー氏により、40~60年代にミドル級などで活躍したシュガー・レイ・ロビンソン(米国)を称える造語として50年代初期に誕生。89年からPFPランキングが導入され、過去にはヘビー級のマイク・タイソン(米国)らが1位となり、軽量級の1位は井上の他にフライ級などを主戦場としたローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がいる。

 返り咲きをしているのは井上の他にロイ・ジョーンズ、バーナード・ホプキンス、フロイド・メイウェザー(いずれも米国)、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)だけ。過去にトップ10入りした日本人は井上、中谷の他に山中慎介(7位)、内山高志(10位)、井岡一翔(9位)。

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