×

信号待ちでのATのシフト位置はDレンジのまま? それともNに入れる? いっそPに入れてしまう?

2024年04月28日 11:00

信号待ちでのATのシフト位置はDレンジのまま? それともNに入れる? いっそPに入れてしまう?
■信号待ち時は「D」or「N」?よくいわれる疑問について、あらためて考えてみる よく話題に挙がるAT関連の疑問の中で、「AT車での信号待ちで、シフトレバーはDのままか? Nか?」というものがある。信号待ちのたびにDからN […]

■信号待ち時は「D」or「N」?
よくいわれる疑問について、あらためて考えてみる

急いでいるときに限って出くわすにっくき赤信号。

よく話題に挙がるAT関連の疑問の中で、「AT車での信号待ちで、シフトレバーはDのままか? Nか?」というものがある。信号待ちのたびにDからN、NからDへと動かすことがAT内部に影響を与えないのかという心配からきているようだ。

「MT」はマニュアルトランスミッション(Manual Transmission)の略称で、手動変速機を指す。対する「AT」とはオートマチックトランスミッション(Automatic Transmission)の略で、自動変速機のことをいう。

そのATには、1速、2速、3速・・・と自動変速するもの(ステップ式)とは別に、CVT(Continuously Variable Transmission:直訳では「連続的に可変する変速機」、通称・無段変速機)があり、ひとの手で調整して行う無段変速機は、少なくとも自動車用には存在しないため、CVTは事実上、一般的にATに含まれる。

というわけで、ここでは「CVT」も「AT」に含めて解説していきます。

●NとDの往復頻度は、ATの故障や寿命に直結しない

AT乗りのみなさんなら、ブレーキを踏みながらシフトレバーをPからR、あるいはNからDに入れたとき、車体に小さなショックが伝わることを身体が覚えていると思う。ブレーキを踏んでいなければジリジリと進み出る(これがクリープ現象)・・・なるほど、軽くても1トン前後の静止車両を動かすほどの力を伝達するわけだから、AT内部に伝わるショックがいかに大きいかは想像でき、ゆえにATの寿命を思う疑問が生まれるのは当然のことだ。

私の場合は、状況状況に応じて決めている。赤信号のときにDのままか、Nに入れるかはおそらく半々、どちらにするかは交差する歩行者用信号が青か赤かを決め手にする。

どういうことかというとですね・・・

赤く灯る信号の下に停まったとき、交差する歩行者信号が青点滅または赤であればDのままにする。交差側自動車用信号が黄色→赤に変わり、こちらが青になるのは時間の問題だからだ。

正面の信号が赤のとき、横を向いて・・・
交差側の歩行者信号が赤、または青点滅のときは、ATレバーはDのまま。
交差側の歩行者信号が青ならば、こちらの赤信号待ちはまだ続くということだから、ATはN。

逆に、交差側の歩行者信号が青点灯であれば、こちらはしばらく赤が続くと見てNに入れ、パーキングブレーキをかける。もっとも、Nに入れたとたんに交差側の歩行者信号が青点滅するときもあるから困っちゃう・・・

それはさておき、筆者がこれまで所有してきたクルマは、1台目のMT車を除いてすべてAT車。単なる油圧制御の4速AT車を1万キロほど、電子制御4速AT車に16万キロ強、CVT車は21万キロ超、いま使用中の電子制御4速AT車は、メーターが7万4000キロちょいを刻んでいるが、とにかくこれら種類のATを、これだけの距離使ってきた。

信号待ちの間でもDのままにしているひとに比べると、理屈上、私のどのクルマのATも負担がかかっていたはずだが、実際にはただの一度も故障に出くわしたことはない。

頻繁にDとNを往復させるとATの寿命が縮む・・・とは確かに聞くフレーズだ。しかしよくよく考えてみると、そのような使い方をしたATの故障率が高いか低いかの統計的資料があるわけじゃなし。そのような調査を行っているどこかの機関があるわけでもない。

私の経験上、D-N間の往復頻度そのものが直接ATの寿命に悪影響を与えるとは思えず、メーカー設計上の欠陥品ではないことが前提だが、むしろATの故障なり短寿命なりといったトラブルは、他の乱暴な使い方、日常的に急発進や急加速、完全停止しないうちにDからRに入れているなどの要因が、複合的に重なってのことではないかと思っている。

●普段のATの使い方を見直してみよう。

となると、信号待ちのシーンだけを切り取ってDのままか、停まるたんびにいちいちNかを問うよりも、全体の操作を日常から丁寧に行うことを心がけるほうが得策のように思う。
急発進、急加速をしないのはもちろんのこと、速度に見合わないエンジンブレーキ操作をしない、DからNを通過してRやPに入れる際は、完全停止してから行うなどだ。

この前どこかのコンビニエンスの駐車場で自分のクルマを発進させようとしたら、目の前でバック入れをしようとするミライースがいたので待ちがてら観察していたら、駐車枠の前で完全停止しないうち・・・つまり、まだ残存する慣性でクルマが前進しているのにリバースランプが灯っていたが、あんなのはいかにもクルマがかわいそうで、「トランスミッションが苦しんでいるだろうなあ」と見るたびに思う。

ほかにもうひとつ。

私も急ぎ気味のときにうっかりやっちまうことがたまにあるのだが、レバーをDに入れ、動力がトランスミッションに伝達する前(=ショックを感じる前)に、タイミングを誤ってアクセルを踏んでしまう・・・これもとんでもないことで、エンジン回転が上昇し、アイドリング時よりも強くなっているトルクをいきなりATが受けるわけだから、ATにしてみればたまったものではない。こんなときは、ただの伝達ショックどころではない、「ドン!」という音が足元に響き、衝撃が車体全体を襲いかかる。これもいかにもクルマに良くない感じがする。

ATにしろエンジンにしろ、1度や2度のミス操作に耐えられるような設計がなされてはいるが(フールプルーフ:誤操作に対する危険or故障回避機能)、こういった乱暴な操作を日常的に行われることを許容するほど、クルマのメカは頑丈にできてはいない。

だいたい、学生の頃、ATの分解をしたことがあるが、その中身たるや、プラネタリーギヤ、リングギヤ、サンギヤ、シャフトのほかに、クラッチやブレーキのバンド、バルブに無数の小さなねじ・・・他に蟻の巣のような油圧回路や、その回路を開け閉めするバルブもある。バラしゃあ正常に使っていても壊れるのではないかと思うほど、それはそれは繊細な造りのものだった。こんなもので組み立てたものがトンを超える重量のものを時速100キロ超で走らせてくれるなんて!

まあ、普通のひとがあの構造を見たなら、「おれの、私のクルマもこれからはもうちょいていねいに扱おう」という気になるだろう。

では、どういった扱い方をすればいいのか?

難しいことは何もなく、つまりは車体やエンジン、トランスミッションにタイヤといったメカ主要部が、余計な音を立てない使い方をすればいいだけのことだ。

●安全のためとなるときれいごとばかりいっていられない

さて、DとNの話に戻り、これが安全のためとなると話はまるで変わってくる。

このようなとき、ATレバーがDのままうっかりアクセルを踏んでしまうとどうなるか? ああ、考えただけでも恐ろしい・・・

ひととクルマが混雑気味の中で赤信号にひっかかったとき、こともあろうに横断歩道の上で停車せざるを得ない状況に遭ったことはないだろうか?

ましてやこれがスクランブル交差点で、すべての歩行者信号が一斉に青になろうものなら、歩行者は自分のクルマの前後左右を衣服や持ち物で撫でながらあちらこちらへと歩いていく・・・

横断歩道上に停まっておきながら「おいおい、おれのクルマ傷つけてくれんなよ」と勝手なことを思う瞬間でもあるが、このようなときにD、つまり、いつでも発進スタンバイ! の状態にしていると危険なことこの上ない。何かの拍子にうっかりアクセルに触れようものなら・・・考えただけでもゾッとする。

このようなシーンでは、NどころかいっそPに入れ、しっかりパーキングブレーキをかけるに限る! その上でブレーキペダルも踏む。

このようなときは即座にレバーに手をかけ、Nを通り越してPにまで押し込んでしまおう。
そしてパーキングブレーキも思いっきり引く! 加えてフットブレーキを踏めば、まずクルマが動き出すことはないだろう。

Nと異なり、Pではトランスミッションの歯車にロックがかかるので、クルマが動き出すことはまずない。これが坂道ならなおさらで、Nの状態にしてパーキングブレーキをかけ、うっかりすべてのペダルから足を離そうものなら、パーキングブレーキのかけ方しだいでは前に(後ろに)ずり出す(ずり下がる)可能性がある。

まあ、Pはかけ方の甘いパーキングブレーキを補うためのものではなく、積雪時を除き、NであろうとPであろうと、かけるときはしっかりかけなければいけない。

え? なに? 運悪く次の交差点でも、その次の交差点でも横断歩道上に停まってしまったら?
遠慮なくDとPの間をガチャガチャやってくれ! うっかりミスで周囲の人を怪我させるよりははるかにマシだ。
つまりは状況に応じて柔軟に使い分けるということだ。
これまでに述べたことはあくまでも私の経験に過ぎないが、よかったらどうぞ参考にしてみてください。


「信号待ちでのATのシフト位置はDレンジのまま? それともNに入れる? いっそPに入れてしまう?」の1枚めの画像
さあ、それにする?

おすすめテーマ

2024年04月28日のニュース

特集