たけし8年ぶり短編に吉田羊が涙 中年男を描く“泣き”の新境地
2015年02月15日 09:00
芸能
たけしの短編作品は2007年にカンヌ国際映画祭60回記念として製作、公開された「それぞれのシネマ」で発表した「素晴らしき休日」(3分間)以来。
新作「朝」は全編モノトーンに近く、初期の作品によく見られた「キタノブルー」を彷彿とさせる美しい映像美が特徴。たけしは「これを流すと、これから“審査委員長なんて言っている場合か”と言われそう」と自嘲気味に話したが、作品を見終えた劇団ひとりは「こんなに(尺が)短くても、やっぱり“キタノ映画”になるんですね」と感嘆した。
【たけしと一問一答】
――監督してみた感想、こだわったポイントは?
「“朝をテーマに5分以内の作品”ということだったけど、どうしてもコントになってしまいそうで…(笑い)。コントだと自分の本職みたいなところがあって照れるので、今回は中年男の悲しい姿をやろうと。久々に朝早く起きて、フラフラになりながら撮影したね(笑い)」
――「一番、不得意な“泣き”というジャンルに挑戦してみた」というが?
「『オモクリ監督』で発表する一番初めの作品だったからね。一度“こういう作品もやるよ”というのを見せたから、次にまた話があれば“お笑い”に取り組んでもいいかな。一応、正反対のことをやっておかないと“何だ”と言われてしまうので(笑い)。逃げているわけではないけど、普段の本職である“お笑い”の反対側を先に見せたかったんだよね」
――短編作品は2007年にカンヌ国際映画祭60回記念として製作、公開された「それぞれのシネマ」で発表された「素晴らしき休日」以来。
「あの時は、映画監督として世界の三十数人に選ばれたんで、大変名誉に感じて、一番緊張したかな。“映画館と人との関わり”みたいなテーマがあって、真面目に撮ったんだけど、ふたを開けてみたら、他の監督たちの作品はテーマと全然関係ないものになっていて(笑い)、これだけ許されるんだったら、もっと他のことを考えればよかったと思ったね(笑い)。他の監督たちのことは分からないけど、個人的には映画の発想は“4コマ漫画”なんだよね。そこから枝が分かれていって長編映画になっていくだけだから、長編も短編も監督するにあたっては、あまり違いはないかな。“4コマ漫画”を広げたのが長編映画で、“4コマ漫画”のエッセンスだけを抽出したのが短編と思っているね」
――「キタノ作品」を楽しみにしているファンにメッセージを。
「オレの映画は、暴力を扱ったものが多くて、外国でも“バイオレンス”なんて言われちゃうんだけど、悲しい映画だって撮れるよって言いたいかな。悲しい映画や、男女の映画も撮りたいんだけど、映画は自分をさらけ出すという側面もあるから、恥ずかしく感じちゃって、なかなか勇気が出ないんだよね。今回は良いチャンスをもらえて、悲しい作品に挑戦できたので、ひと味違う“キタノ作品”を楽しんでもらえれば」
▼塩谷亮チーフプロデューサー 番組開始当初から“いつかはお願いできれば”と思っていたたけしさんの監督参戦が、こんなに早く実現できるとは思ってもいませんでした。ロケ当日の朝6時にたけしさんが現場にお越しになり、自分たちとともに撮影をしているのが夢のような気分で、それはおそらくオンエアを見るまで続くと思います。テレビで見られるオリジナルの“ビートたけし作品”をぜひ楽しみにお待ちください。泣けます。