美空ひばりさんに重ねる戦後日本の歩み 二十七回忌追悼特番
2015年05月28日 08:15
芸能
1956年8月、ひばりさんは初めて沖縄を訪れている。返還前、渡航にパスポートが必要だった時代に、劇場・国映館で7日間の公演を開催。当時の沖縄には、本土での流行物への渇望があった。多くの歌手が訪れていたが、ひばりさんの来訪は別格。公演を観賞した女性は、「劇場前は黒山の人だかりで、凄い行列だった。凄い歌声で、今思い出しても涙が出る」と振り返っている。
74年には広島で開かれた「第1回広島平和音楽祭」に出演。♪一本の鉛筆があれば 戦争はいやだと 私は書く――というストレートな歌詞の反戦歌「一本の鉛筆」を歌った。「私の歌を聴きたい人がいれば、どこへでも行く」との思いで、70年には丸2日間かけてブラジルへ。日系人を感動の渦に巻き込んだ。
平和や反戦を強く訴えた人ではない。しかし、その活動を振り返ると、平和への思いが確かにあり、常に日本人を元気づけていた。落合芳行プロデューサーは「ひばりさんの人生をただ振り返るのではなく、戦後の歴史と合わせることで、今まで見えなかった姿が見えてきた」と話している。
≪DVD全集29日発売 レコ大初受賞時ニュース映像も≫秘蔵映像もたっぷり。1965年に「第7回日本レコード大賞」で、代表曲「柔」で大賞を初受賞した際の映像。TBSに映像が残っていなかったが、約30秒ほどのニュース映像が発見された。半世紀の時を経て解禁される。この映像などを収録した総再生時間915分のDVD全集「美空ひばり 宙 そらから」も29日に発売される。