フジ苦戦「日9」中島裕翔主演「HOPE」で逆襲 月曜への活力に
2016年07月17日 09:00
芸能
日曜午後9時はTBS日曜劇場、日本テレビ「行列のできる法律相談所」など、強敵がひしめく枠。激戦区に再びドラマで打って出るにあたり、渡辺氏は「日曜の夜は在宅率が高く、他の曜日に比べるとテレビを見ていただける。その中で、また月曜から仕事を頑張ろうと思える作品にしたいと考えました。原作の『ミセン―未生―』は国柄を問わず働く人がシンパシーを覚える気持ちにあふれていて、日9という枠で一番やらないといけないことに合致する」とリメーク権を獲得した。
初回、主人公はピンチ、逆境の連続に直面するが「能天気に『前向きに行こうよ』『明日から頑張ろうぜ』と言うんじゃなく、このドラマは『痛み』をしっかり描きたい」。それが“共感”につながり、共感が生まれれば一緒になって“闘える”。「『痛み』『共感』『闘い』のドラマにしたいと思っています。決して新入社員だけの話じゃなく、先輩・上司や主婦の方、どんな共同体にいる人も多かれ少なかれ、日々闘っていると思うんです」と幅広い層に訴える。
「医龍3」「救命病棟24時」(第5期)「HERO」(第2期)などヒット作を手掛けた渡辺氏。「HERO」の放送後、検事を志す学生が増えたように「ドラマを見ていただいた人が何か新しく行動を起こしたり、視聴者の皆さんの生き方に影響を与えるような作品にしたい」が制作ポリシーの1つ。「今回なら『働くっていいな』と思っていただきたいし、例えば『提案するのをやめていた企画を上司に一度ぶつけてみよう』と思っていただけるだけでも、すごくうれしい。プロデュース冥利に尽きます」。
録画機器の進歩、スマートフォンやタブレット端末の普及など、テレビの視聴環境が劇的に変化。テレビドラマは“受難の時代”とも言われる。
「作り手の“思い”が視聴者の皆さんに届かない時もありますが、まずは作り手に“思い”がないことには絶対に成功しないと思います。10球投げて、ストライクが入るのは2~3球かもしれません。ただ、投げることをやめてしまったら、ストライクは入らなくなるので。核を持ってブレないことが一番大事だと思います。大それたテーマじゃなくてもいいと思うんです。例えば、1話完結で視聴者の皆さんを1時間、とにかく飽きさせずに引っ張る。そう決めたのなら、それを大事に作る。それをやり切って初めて、俎上(そじょう)に載るんだと思います」
今回の「HOPE」に照らすと「主人公たちの痛みを描いた上で、明日から頑張ろうと共感していただけるドラマを作るということは決めたので、そこはブレちゃいけない。何か大きな事件が起きるわけでも、スーパーヒーローが現れるわけでもないので、刺激を求める人には物足りないかもしれません。それでも、日常生活の中で闘っている人は皆、カッコいい。たとえ、それが負け戦だったとしてもです。ドラマをご覧になった方が『ああ、このドラマは自分のことを描いているんだ』と思っていただけるような作品にしたい。そこは最後まで貫きたいと思います」と力を込めた。