「真田丸」視聴者へ届いた思い 堺雅人も“ネットの愛”実感
2016年12月22日 10:00
芸能
これまで「ナレ死」「真田丸どうでしょう」といったフレーズが生まれたり、「丸絵」と呼ばれるキャラクターやシーンを描いたイラストがツイッターで投稿されたりするなど、インターネット上で視聴者発の楽しみ方が盛り上がった。
制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサーは「見ている方がいろいろ遊んでくれるとうれしい」と意外な形で視聴者が楽しんでいることを喜び、そうした反響を見ることで「私たちスタッフは自分たちでも気付いていなかった様々な“見どころ”を視聴者の皆さんから教えていただいた」と振り返る。最終回に副題をつけず、無題とした際にも「最終回を観終えられた視聴者の方々が、それぞれどのような感想を抱かれ、それぞれに各自の心の中で副題を付けていただければ、われわれとしてはうれしいです」とコメントしていた。
そうした盛り上がりを受けて「真田丸」はYahoo!検索大賞のドラマ部門賞を受賞。Yahoo!は三谷幸喜氏(55)の脚本や豪華なキャストが話題を呼んだのでは、とブームを分析している。
三谷氏はSNSについて「落ち込みやすいので、否定的な意見はなるべく見ないようにしていました。でも(SNS上にアップされた『真田丸』の絵) “丸絵”はすごかったです。チョイスする場面も的確でしたし、毎回楽しみにしていました」と話していたものの、随所に笑いが散りばめられた脚本が毎週話題を呼んでいたのは間違いない。真田幸村が最期を迎える最終回さえ、真田家に仕えてきた忍び・佐助(藤井隆)の年齢が発覚するというシーンを盛り込み、SNS上は驚きと笑いに包まれた。
「真田丸」のイベントを手掛けたプロデューサーの吉岡和彦氏によると「テレビとスマホの関係は主客が逆転していると思う。スマホがテレビを見るためのサブツールではなく、いまやスマホで遊ぶためにテレビが使われているという発想で考えたい」と企画が立ち上がった当初の会議で話したという。
ドラマ評論家の木俣冬さんがネットに受けやすかったポイントとして挙げたのは「フィクションとノンフィクションをとてもいい塩梅で作ったこと」。ドラマファンを満足させると同時に、歴史を再認識することを喜びにしている歴史ファンにも愛されたのでは、と見る。
歴史ファンの知識欲を満たしたという点では、ドラマの時代考証を担当する国文学研究資料館特定研究員・丸島和洋氏が毎週熱心にツイートしていたことも見逃せない。わずかに映っただけの書状の内容について裏事情を明かすこともあれば、作中では描き切れなかったディテールを細かく解説することも。木俣さんは「スピード感ある発信をされていて、歴史ファンが満足できたのは丸島さんの存在が大きかったのではないかと思います」と指摘した。
何か1つの要因があってネットで愛された、と言えるほど単純なものではない。当初から意図していたこと、意図しなかったであろうことも含め、様々な試みが絡み合い、作り手の思いが視聴者に届いた結果、ネットでのブームが生まれたと言えるだろう。=連載終わり=