三浦皇成 妻・ほしのあきと歩んだ闘いの日々 壮絶リハビリ乗り越え…
2017年08月25日 18:30
芸能
しかし、肝心の競馬では目立った活躍が出来ず、壁にぶち当たっていた。どうしても1年目の勝ち星が超えられない…。G1勝利も遠かった。
もがきながらもレースに挑み続けていた昨年8月14日。三浦を悲劇が襲う。札幌競馬7Rで落馬し、骨盤と肋骨を計10カ所以上も骨折した上に肺も損傷。全治までの期間不明という、騎手生命をも脅かすほどの重傷を負った。
病院に駆けつけた妻は夫の姿に絶句。「体中に管だらけだった…夢であってほしいと思いました」。なんとか一命は取り留めたものの騎手の要ともいえる骨盤が真っ二つに折れていた。下半身に力が入らず、歩くことすら出来ない状況。15本ものボルトで骨盤を固定する大手術が3回も行われ、絶対安静の日々が3カ月間続いた。
馬に乗るどころか、日常生活を送ることすら出来ない。それでも三浦の頭に浮かぶのは競馬のことばかり。「自分の思い描いたところのジョッキーにもなれてないし、このまま、終るわけにはいかない、どんな時間をかけても絶対復帰してやる」。必ず、復帰すると誓った。落馬から4カ月がたった昨年12月、リハビリを開始。精力的に取り組み、1カ月後、なんとか退院にまで漕ぎつけた。
三浦を支えたのは妻の献身。事故以来、看病を続け、夫の前では務めて明るく振舞う。「彼が納得するまでね。そこまで、私がちゃんと支えないとですよね」。命の危険にさらされてもなお、復活を目指す騎手としての夫の宿命を一緒に背負うと決めていた。
5月に騎乗に耐えられるよう骨盤を強化する手術が成功。麻酔で意識が混沌とする中でも、三浦は「無事に終わってよかった。本当にやっぱ、馬に乗りたいです」と語っていた。7月には事故以来、11カ月ぶりに乗馬。骨盤にはボルトが入ったままだが、医師から騎乗の許可がおりた。
数々の苦難を乗り越え、迎えた札幌競馬での復帰戦の3日前。三浦は自らが落馬した場所を見つめていた。「あそこで落ちて、もがいている時から、僕の騎手としての時間は完全に止まっている。ここでしっかり復活するのが、僕の中のけじめ」。
復帰戦には支え続けた妻も応援に駆けつけた。「やっとここまで、来れた」。三浦がパドックに姿を現すと、復帰を喜ぶファンの大歓声と拍手。降りしきる雨の中、復帰レースが始まる。果たしてその結果は。あの日以来、止まっていた時間を三浦は取り戻すことができたのか――。