5歳の天才ゴルファー・須藤弥勒 父の覚悟と献身 親子で目指す世界一
2017年09月29日 07:00
芸能
指導しているのはコーチでもある憲一さん。「やらせているというよりは、本人が好きなので。振り込みをしている時は、多いと2000球近く。そのおかげでうまくなりました。やっぱり練習、すべて練習ですね」。厳しい練習に弥勒ちゃんが泣き出すこともあるが、心を鬼にして指導。父娘でゴルフに取り組んでいる。
弥勒ちゃんの名前には、仏のさとりを得ようと努力する弥勒菩薩のように、何事にも努力する人生を歩んでほしいとの思いが込められている。実は憲一さんは、新潟県で28代続く寺の長男。大学は東京大学に進学し、大学院では仏教を研究していた。「目標を設定しないで、ただ生きていると、漠然に終わっちゃう」。どんな夢でもいい…。そして、そこに才能を見出せれば、徹底して伸ばしてやりたい。それが父親の使命だと考えていた。
ピアノやスケートなどさまざまな習い事に通わせ、どこに才能が眠っているか時間をかけて探した。「一番大切だったのが、本人が興味あること。そして興味のある中でも、才能が感じ取れるか、取れないか。あと、本人がやっていて楽しそうだったか。この3つですね」。
そんな中、弥勒ちゃんが興味を示したのがゴルフ。1歳になった頃、おもちゃのクラブを与えたところ、毎日のようにボールを打ち続けた。3歳で約40ヤード先の三角コーンを狙い打つ、正確無比なショット。「これだけの才能を埋もれさせてしまったら、すごく後悔が残る。育てるのが、私のひとつの人生の役割じゃないか」。娘の才能を伸ばすと決めた瞬間だった。
意識を高く保つため、17歳から5歳までの子どもが出場できる、世界ジュニア選手権出場を目標に設定。タイガー・ウッズは8歳だったジュニア時代に同大会を制覇。狙いを、世界一に定めた。
ゴルフは週末に仲間と楽しむ程度だった憲一さんは、トレーニング方法から、ルールなど基礎知識を徹底的に勉強。自宅の隣にあった土地を購入し、練習場を手作り。パッティングやティーショットなど、ほぼ全ての練習がこなせる環境も整えた。練習は多い日で1日10時間にも上った。
努力は実を結び、世界切符をかけた予選会で優勝。2位に31打差をつける圧倒的な勝利で、挑戦権をつかみ取った。そして迎えた7月の本戦。優勝すれば史上最年少優勝。憲一さんが見守る中、幼い少女の戦いが始まる―――。