【夢中論】瀬戸康史 卓球マイラケットで“チョレイ!”ラリーは芝居と似ている

2018年02月06日 10:00

芸能

【夢中論】瀬戸康史 卓球マイラケットで“チョレイ!”ラリーは芝居と似ている
卓球にはまっている瀬戸康史。見事にスマッシュを決める Photo By スポニチ
 張本智和(14)ら若手選手の飛躍が目覚ましい日本卓球界。芸能界でも今、俳優の瀬戸康史(29)が直径44ミリのピンポン球を追いかけることに熱中している。映画で卓球選手役を演じたことでどっぷりはまり、無心でラケットを振っている。爽やかなイケメンの印象が強いが、内には体育会系の熱さを秘めている。
 仕事帰りの午後9時ごろ、役者仲間と都内のバーに入った。ソファが並ぶアットホームな店の中央に、ドーンと存在感を放つ卓球台。ここが戦場だ。青いケースからマイラケットを取り出し、ラバーを撫でる。シェークハンドのグリップが少し汚れてきたのは、自分の手になじんできた証拠。相棒をいざ握って、向かい合ったのは卓球部出身の友人。目の色が変わる。

 カットマン相手に繰り出したのは、逆横回転のかかるYGサーブ。腕を内側に折り曲げて、おなかの前でピンポン球をラバーでこするようにして打ち出す。スピンの利いたサーブが見事決まり、友人はミスヒット。「よっしゃあー!」と雄叫びを上げ、左手の拳でガッツポーズ。11点マッチに負ければ地面にへたり込んで悔しがる。

 「どうしてこんなにはまったのか、よく分からないんですよ。今はうまくなっていくのは楽しい。時々、相手が打つ球の回転が見えるようになったんですよ。難しいのはフォアハンドのドライブですね」。お酒もそこそこに、友人とラリーをしたり、サーブの練習をしたり。気付けば5時間もたっていた。

 「興味すらなかった」という卓球に触れたのは、昨年公開の映画「ミックス。」。主演の新垣結衣(29)のライバルとなる卓球選手を演じたことだった。撮影前に卓球指導の先生の教室に通い、すっかりはまった。

 「簡単そうに見えたんですけどかなり難しかった。手首の角度だけでいろいろと変わる。地味なイメージもあったので、こんなにハードなんだってビックリした。隣の台にいたご年配の奥さまが僕よりよっぽどうまい。悔しくて火が付きましたね」。週2回、3時間の特訓を積んだ。

 試合のシーンはCG。だが、瀬戸の練習シーンだけはそのままの映像。「監督がドSで(笑い)。本当に疲れた姿を撮りたいから、疲れるまで1000本ノック。あれはしんどかった。でも、それでうまくなったのかな」

 手掛けた石川淳一監督は、現在出演中のフジテレビドラマ「海月姫」の監督でもある。撮影の休憩中に、監督や助監督とスタジオに置かれた卓球台に立つ。60分間の昼休憩の半分を費やすことも。本当に卓球が好きだ。

 元々、これと言った趣味がなかった。仕事のためにギターを練習してもはまることもなかった。「卓球だけが何か違うんですよね。この年で熱中できる趣味ができたことがうれしい」

 気分転換やストレス発散はもちろん、「芝居の反射神経が良くなってそうな気がしますね」。演技ではパッと返すアドリブの芝居を求められることも多い。「もしかしたら、ラリーは芝居と感覚が似ているのかもしれない。相手が打ちやすいように返さないといけないし、球が遅すぎるとリズムが狂っちゃう」。仕事へのプラス面もしっかり感じていた。

 05年、17歳の時に「第2回D―BOYSオーディション」を経て芸能界入り。芸能界に入りたかった母親が、息子に夢を託したもので、自ら目指して入った世界ではなかった。「何度も辞めたいと思いましたよ。17歳で東京に出て、大人に囲まれて内気になっちゃって。だから、20歳を超えてからスタッフさんだけの飲み会にどんどん行くようにしたんです」。多くの知り合いができ、作品にも恵まれた。そのうちに「もう辞められないな」と気持ちが固まった。

 今年5月に30歳の節目を迎える。ただ、ルックスはまだ若い。今でこそ受け入れているが、その童顔こそが昔からのコンプレックスだった。「見えている自分と見せたい自分にギャップがあって。格好いい、男らしいって見てほしいのに、“この顔のせいで”とか思ってたんです」

 今の目標は父親役を演じること。童顔だからこその挑戦だ。仕事への欲求は強い。「ハッピーな作品が続いているので、社会派や重いテーマの作品に出たいと思うんです。いろんな表現に触れたい」。1000本ノックで卓球が上達してきたように、役者としてどんどん難しい役にぶつかり、それを乗り越えたい。どんな球でも打ち返す男を目指している。

 ≪“女装美男子”熱演、マニキュア自分で≫出演中のフジテレビドラマ「海月姫」(月曜後9・00)では“女装美男子”を熱演中。放送のたびに「本当に奇麗」などと高評価されているが「女装に抵抗はありました。自分では鏡を見ても、“オネエ感”というか男にしか見えない。だから奇麗、可愛いと言ってくださるのはうれしいし、それが自信になってる」という。現場では慣れた様子でマニキュアを塗る。「興味があるわけではないんですよ。メークさんも忙しいから、自分でやれることはやろうと。オネエの道に行っちゃうんじゃないかって言われるんですけど、今のところはないです」と笑った。

 ◆瀬戸 康史(せと・こうじ)1988年(昭63)5月18日、福岡県生まれの29歳。ドラマや映画、舞台などで活躍中。近年ではNHK連続テレビ小説「あさが来た」や日本テレビ「先に生まれただけの僕」、映画「ミックス。」、舞台「陥没」、「関数ドミノ」などに出演。現在はNHK BSプレミアム「幕末グルメ ブシメシ!2」に出演中。

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