【柳沢慎吾のひとり甲子園“再現動画”】耳をつんざいた「やまびこ打線」

2018年08月06日 09:00

芸能

【柳沢慎吾のひとり甲子園“再現動画”】耳をつんざいた「やまびこ打線」
ベンチで悠然と構える池田・蔦文也監督の様子を再現する柳沢慎吾 Photo By スポニチ
 四国でやっぱり思い出すのは「攻めダルマ」こと蔦文也監督が率いた池田(徳島県)。80年代の高校野球でどれほど特別だったかというと♪池田、池田、模範堂…って球児が校歌を歌う「ムヒ」(かゆみ止め薬)のCMがあったからね。凄いでしょ!
 82年夏と翌83年春に甲子園を連覇。水野雄仁、畠山準、江上光治…といった選手たちの名前を思い出すと、金属バットのカキーン!って音がよみがえってくる。今の金属バットとは音が違う(※動画参照)。耳をつんざく物凄い音で。ボクの夏の風物詩の音色といえば、風鈴じゃなくて金属バットのカキーン音。「あぁ夏だぁ〜」って思ったもんですよ。

 そんな甲高い金属音が、山間の学校のグラウンドで鳴り響くから「やまびこ打線」と呼ばれた。こういうの新聞記者が名付けるんでしょ?うまいよね。

 応援はシンプル。アルプススタンドで統率された生徒たちが手を叩きながら、I・K・E・D・Aと1文字ずつアルファベットを叫んで声援を送っていた。緻密で洗練された応援というより、真っすぐな声援の迫力。

 池田野球も、犠打、盗塁、進塁打など緻密な戦法が求められた高校野球の常識を捨て、ひたすら強打。82年夏は6戦85安打(当時の大会新記録)。早実のエース荒木大輔も緻密野球の伝統校・広島商も木っ端みじんに蹴散らされた。

 神風特攻隊の生き残りだった蔦監督。74年から導入された金属バットは「打力を前面に押し出した方が有利」とイチ早く気付き、ひたすら部員の上半身を鍛え上げた。

 「もう年ですわ!」など愛きょうある阿波弁でのインタビュー。ベンチにどかっと座ってハッパをかけていたかと思うと、試合中どこにも見当たらない時も。ベンチ裏でタバコ吸ってんだよね(※動画参照)。そんな監督、今いないよ(笑い)。

 金属バットの“カキーン音”は審判や捕手の難聴の原因になるとの理由で、91年から打球音を抑えた消音バットに替わった。最近は「トゥンッ」って小さい音でしょ。池田が甲子園に残した影響は大きいよね。

 今年、徳島勢は4日目に鳴門が花咲徳栄(北埼玉)と戦う。「阿波踊り部」があるけど毎年お盆と重なるため甲子園になかなか来られない。初戦はどうなるのかな。

 高知は、創部100年を迎えた古豪・高知商が12年ぶりに甲子園に帰ってくる。名物応援は地元の民謡「よさこい節」。鳴子を手に♪よいやさーのさのさーの――の掛け声。100回目の夏の甲子園。伝統校の郷土色あふれた応援は見逃しちゃいけないよ。
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