安室奈美恵 “伝説”はさらに神話化 自ら進んで選んだ「私人」への道
2018年09月17日 09:00
芸能
だから、今回の引退劇は“仕方なく”起きたものではなく、じっくり練られた戦略あってのもの。ベスト盤の収録曲のほとんどを歌い直すことで、デビュー時から約20年間の楽曲に関する権利を自らも保有し、ラストツアーのDVDに関しても同様。ライブの売り上げを含め、昨年の引退発表からの1年間で300億円以上を稼ぎ出した。歌やファッションだけでなく、自らが選んだ道を自力で切り開いてきた「生き方」までもが同世代の女性や後輩歌手たちの指針となった彼女だが、最後に「引退ビジネス」の成功法まで残した。
歌謡曲だけでなく、J―POPとも決別した唯一無比のブランディングに成功し、最後まで貫いた安室。ラストデーにファンと同じ会場にいたのに本人の直接の言葉はなく、謎めいた部分を残すことで“伝説”はさらに神話化した。(編集局次長兼文化社会部長・阿部 公輔)