自殺衝動の過去も…ヒロシ「あわよくばの精神で」転落経てたどり着いた“しがらみ脱する働き方”
2018年12月16日 09:30
芸能
「今を息苦しく感じながら生きていても、それをインターネットで発散する場所がつくれますよという提案。別の世界があれば、今を我慢するという生き方もできる。何がヒットするか分からないから種だけはいっぱいまいておいて、思いのほかそれが実ったら、今いる場所をやめて、そこから収入を得てもいい。リスクをとらずに夢を追えるよっていう本なんです」
自身は現在、YouTubeで、大好きなキャンプを一人でする様子を黙々と配信。ネタは一切なく、地味な映像ながらチャンネル登録者数は増え続けて今では20万人を突破した。広告収入のほか、キャンパーとしてイベントやテレビ・ラジオへの出演も増加。「僕の場合はお金じゃないので。無理をせず気持ちよく仕事をするということ。自分が目指す幸せに近づいている気はします」。それでも、まだ目指す生き方の完成形ではないとの理由から、著書のタイトルは満点の2・0から少し欠けた1・9に。「謙虚な思いと、あとは『ヒロシってこんなこと書いてるけど、2・0の生き方してないじゃん』って言われてしまうといやなので防御のため」と、自虐ぶりもちょっぴり健在。
ブレーク全盛期の月収は4000万円。それでも当時は、「心と、お笑いの技術がついていかなかった」と振り返る。大金は手にしたものの、人間関係も含め喪失感にとらわれる日々。人と群れることや、こびることができない性格も災いした。「飲み会でみんなで“イエ〜イ”って言うのが嫌で。虫唾が走るくらい(笑い)。こびた方が上からは絶対かわいがられるし、売れるためにはやらないといけないんですけど、僕は一貫してこびなかった。自分で自分の首を絞めているわけですけど、動けなかったんですね。やるべきなのにできない。これはきつかったですね」。結果、自身を追い込むことになり飛び降り自殺を図ろうとしたこともあった。
「マンションから…いけるなって思ったんです。同時にやばいとも思って(吉本時代の)同期の友人に連絡したんです。来てくれたからよかったものの、どうしていいのかわからなくて…。そんな感覚は初めてでした」。その後は、大手芸能事務所を辞め、バラエティー番組のひな壇に座ることもなくなり、大金も手放した。それでも、好きなキャンプがビジネスに結びつくようになった今の方が「気持ちよく仕事ができている」と胸を張る。
「人と群れるな、人にこびるな」などというつもりは毛頭ない。今を息苦しく感じているのなら「一歩踏み出さなくても半歩、4分の1歩出て、とりあえず好きなことをやってみる。楽しいことを続けて、種をまき続けていれば、もうちょっと耐えられるよってことも書きたかった」とヒロシ。「一人キャンプ」のヒットが示した、SNSが持つ魅力と可能性。「ダメージを食らわないように無理はしない。“あわよくば”の精神で。この本も“あわよくば”売れればいいなってことです。誰にだってこんな働き方ができるんですよってことが伝われば」。さわやかな白シャツ姿のヒロシに、ネガティブな言葉はなかった。