【宍戸錠さん死去 】
映画界きってのアイデアマンだった。1960年代の「渡り鳥」「流れ者」「拳銃無頼帖」シリーズで当たり役となった“ニヒルな殺し屋”。指を立てて左右に振り「チッチッチ」と舌打ち。カウボーイハットを人さし指でチョイと突っつき、殺す前にニヤリ。“殺し屋スタイル”を確立し、キザで陽気な悪役で観客を魅了した。
こうした役作りは研究のたまものでもあった。無名の役者時代、米国の西部劇をはじめアクション映画に没頭。一癖も二癖もある脇役にひかれ、こうした経験をヒントに演技を工夫してキャラクターにリアリティーを与えていった。主演第2作「早射(う)ち野郎」(61年)は日活宣伝部員と構想を練って生まれた日本人による西部劇。「世界早射ち第3位、0.65秒」のキャッチフレーズも話題を呼び、大ヒットした。