柴咲コウ「エール」で朝ドラ初出演「うれしい」も世界的オペラ歌手役に苦戦「壁に…」基礎から声楽練習
2020年02月03日 13:00
芸能
柴咲が演じるのは、世界的に活躍するオペラ歌手・双浦環。大正12年(1923年)秋、11歳の音(子役)は豊橋の教会で出会った環の歌声に心惹かれ、プロの歌手になりたいと決心。昭和7年(1932年)1月、19歳の音(二階堂ふみ)は東京の音楽学校で憧れの環に再会。のちに、環は裕一と音の人生の転機に深く関わる存在になる。
制作統括の土屋勝裕チーフプロデューサーは「双浦環は裕一と音にとって憧れであり、目指すべき人でした。そんな双浦環を演じる女優さんはカリスマ的なオーラをまとい、人々を歌で魅了する力がなければならない。柴咲コウさんの芝居力、歌の力、そしてカリスマ的な存在感がまさに双浦環役に相応しいと考え、オファーさせていただきました」と起用理由を説明、期待している。
柴咲は02年に歌手デビュー。03年に映画「黄泉がえり」の主題歌「月のしずく」(役名RUI名義)がミリオンセラーとなった。作詞も手掛け、定評がある。初挑戦となる朝ドラからの出演オファーに「うれしかったですが、世界的なオペラ歌手を演じられるのか、少し心配の方が勝りました。幸い歌手活動はやらせていただいてきましたが、声の出し方も全く違うので、一から練習しないといけない。(歌唱シーンの)吹き替えという選択肢もないと思ったので、きちんとレッスンができるのであれば、というところから始まりました」と心境を明かした。
「直虎」の時も、NHKドラマ初出演にして大河主演。朝ドラにも縁がなかったが「大河の時も突然お話を頂いたという感じで『えっ?私?』みたいな(笑)。良くも悪くもニュートラルに生きているといいますか、あまり『こういう作品に出演したい!』と構えていない部分もあって。今回の朝ドラも、主人公たちと接点を持つ役でオファーを頂いて『意外だなぁ』と思うところもありました」と自然体で快諾した。
ドラマは昨年9月中旬にクランクイン。柴咲は11月中旬に合流したが、その前の7月上旬から歌の練習を開始。最低週1~2回、1回2時間近くのレッスンに励んでいる。
既に歌唱シーンも撮影済みで「練習でカメラが回っていないと、どう撮られているかを気にしないで純粋に『あんなに声が出た』のに、いざ本番になると、20年以上やってきたお芝居のスイッチが入って邪魔してしまうのか、声が出にくくなって。本当に壁にぶち当たっています。繊細な部分が声に影響してしまうんだと感じています」と苦戦ぶりを吐露。
「20世紀最高のソプラノ歌手」と呼ばれたマリア・カラスの佇まいをはじめ「本当に多様な歌い方があるので、いろいろな人を参考にしています。自分が培ってきた歌い方は独学な部分もあるので、声楽の基礎を一から学んでいるところ。これからの自分の歌手活動にとっては支えになると思うんですが、私が持っているものを活用しても簡単に世界的なオペラ歌手にはなれません。まだまだレッスンを積み重ねていかないといけないと思います」と、さらなる高みに挑む。
演じる双浦環役のモデルは、日本人初の国際プリマドンナ(オペラの主役となる女性歌手)として活躍した三浦環さん(1884~1946)。イタリアの作曲家プッチーニの「蝶々夫人」で世界的に知られた。柴咲は劇中、古関氏が作曲し、三浦さんが1935年にレコードに吹き込んだ流行歌「船頭可愛や」なども披露する。
「三浦環さんの直筆の資料も拝見しました。いつもそうなんですが、モデルとなる人からはエッセンスを頂いて、あとはドラマの中に生きる役として、あまり意識しないようにしています。双浦環さんという人は、芯が通っている。そういう部分で、私に声を掛けていただいたとも思うので(笑)、共通点を生かしつつも、海外に留学できたチャンスを必ずものにする強さ、それ以上のパフォーマンスを出す人ということを思い描きながら、キャラクターを作っていきたいと思います」と役作りのプランを明かし、張り切っている。