劇場で初体験!宮崎アニメ人気再燃の秘密

2020年07月21日 08:00

芸能

劇場で初体験!宮崎アニメ人気再燃の秘密
 「千と千尋の神隠し」の初日風景。左から宮崎駿監督、声優を務めた柊瑠美、内藤剛志(東京・日比谷スカラ座) Photo By スポニチ
 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】あらためてジブリ作品のパワーを思い知らされた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために映画会社の苦労も尽きないが、そんな中、「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」「風の谷のナウシカ」「ゲド戦記」が6月26日に封切られ、動員ランキングで上位を占めている。
 興行通信のホームページによれば、7月18、19日の週末動員数は(2)「千と千尋の神隠し」(3)「もののけ姫」(4)「風の谷のナウシカ」の順。初登場の新作「今日から俺は!!劇場版」に1位こそ奪われたが、封切りから3週はトップ3を独占していた。

 「まさかまたスクリーンで“ナウシカ”や“もののけ姫”“千と千尋の神隠し”を見られるとは思わなかった。やっぱり迫力が違う。もちろん子どもたちにとっても初めての劇場体験でしょう」

 知人の言葉に「う~ん。なるほど」とうなった。「千と千尋の神隠し」は2001年7月20日、「もののけ姫」は1997年7月12日、「風の谷のナウシカ」は84年3月11日の公開だ。306億円と日本映画で歴代ナンバー1の興行収入記録を持つ「千と千尋の神隠し」が封切り時に動員した観客数は2350万人。大変な数ではあるが、その後、DVDやテレビ放送で作品に触れた人の数もバカにならない。

 「千と千尋の神隠し」が初めてテレビ放映されたのは03年1月24日。日本テレビの「金曜ロードSHOW!」枠で放送されたが、この時の視聴率は46・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という驚異的な数字だった。

 「もののけ姫」は公開から13年、「風の谷のナウシカ」は36年が経過している。「千と千尋…」以上にDVDやテレビ放送で見たという人たちはなおさら多いだろう。久々の劇場公開を親子連れが楽しんでいる要員はこんなところにありそうだ。

 「もののけ姫」の公開に寄せて96年10月から翌97年3月まで毎週月曜日付で18回にわたって「宮崎駿の世界」と題した連載を担当した。今思えば、なんとぜいたくな時間だったか。東京・東小金井のスタジオジブリに胸躍らせて通った日々が懐かしい。

 97年7月12日の公開初日に合わせ宮崎監督にインタビューした。「このままのペースで仕事を続ければ5年で死んでしまうという実感も持っている」という言葉が耳に残っている。作品に全身全霊を注ぎ込んで精も根も尽きた様子。「お遍路に出る」と話していた。

 「もののけ姫」は興収193億円を稼いで、その時点での日本記録を作った。それを4年後に「千と千尋の神隠し」が破る。同作品は出品した第52回ベルリン映画祭で金熊賞を獲得。第75回アカデミー賞でも長編アニメ賞を受賞するなど、海外でも高く評価された。

 13年の「風立ちぬ」公開後にいったん引退宣言をした宮崎監督だが、それを撤回して新作「君たちはどう生きるか」を製作中。作家・吉野源三郎の同名小説をベースに父の死後、叔父のもとに引っ越してきた少年の心の変化を描くストーリー。完成は3年後ともいわれているが、どんな作品になるものやら。早く見てみたい。もちろんスクリーンで!
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