石川さゆり YouTubeで生んだ特別版「天城越え」

2020年07月22日 13:00

芸能

石川さゆり YouTubeで生んだ特別版「天城越え」
YouTubeの公式チャンネルで歌う石川さゆり(YouTubeから) Photo By スポニチ
 【牧 元一の孤人焦点】歌手の石川さゆりが21日、NHKの音楽番組「うたコン」で、特別版「天城越え」を披露した。ピアノとチェロだけのシンプルな伴奏。周りの音が少ないだけに、歌の繊細な部分が耳によく届いた。そして、いまさらながら思った。歌う石川は圧倒的だ。
 この特別版「天城越え」はもともとYouTubeの石川の公式チャンネルで生まれたものだ。チャンネル開設は緊急事態宣言が出ているさなかの5月。自宅やスタジオで自身の楽曲を歌う動画がこれまでに7本配信されている。

 石川は開設時の状況について「それまでYouTubeには縁がなかったけれど、時間があったのでi-padで発見しました。ここからなら、境なく、たくさんの人へ音楽を届けられると思いました」と振り返る。

 緊急事態宣言を受け、予定していた公演は中止。自粛期間中のファンへのメッセージを検討する中、やはり歌を届けるのが最善だという結論に至った。

 特別版「天城越え」は5月の最初の配信で、リモート伴奏によって歌唱。サビで♪あなたと越えたい 天城越え…と歌うところで、「越えたい」と「天城」の合間に、右のこぶしで左の手のひらをポンとたたくのが印象的だ。

 石川は「リモートでみんな別々の場所にいるので、タイミングやリズム感、みんなの気をそろえるため、合図が必要でした。リハーサルの時の音楽仲間とのやりとりを公にお見せした感じ」と明かす。

 「うたコン」の伴奏はリモートではなかったが、このサビの合図を再現。レアな場面をステージ上で見せることで、視聴者を楽しませた。

 現在、大河ドラマ「麒麟がくる」(放送休止中)にも出演中。主人公の明智光秀(長谷川博己)の母の役で、音楽活動とは違う個性を発揮している。NHK関係者は「ステージ上での圧倒的な存在感とは別の、どこか引いた存在感」と指摘。一歩下がって光秀を支える雰囲気が、見ている側としては、しっくりくる。

 「うたコン」のステージはまさに圧倒的な石川さゆり。最近は光秀の母を見慣れていただけに、別人を見るような思いもあった。

 「天城越え」は近頃は「紅白歌合戦」で1年おきに「津軽海峡・冬景色」と交互に披露されている。一昨年は布袋寅泰のギターと和楽器とのコラボだった。今年も例年通り紅白が行われ、石川が出場してこの曲を歌うことになるとしたら、どんな演出になるのだろう…。そんなことにも思いをめぐらせた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。
【楽天】オススメアイテム