森七菜 14日再開の朝ドラ「エール」で本領発揮
2020年09月01日 11:30
芸能
この週は、主人公の作曲家・裕一(窪田正孝)の家に、弟子入り志願の青年・五郎(岡部大)が住み込むエピソード。同じ頃、文学の新人賞を受賞した梅(森)が上京して同居し、裕一の幼なじみ・久志(山崎育三郎)に一目ぼれされるが、やがて五郎のことが気になり始める。
森の表現が豊かだ。自分で捉え切れていなかった感情をはっきりと自覚した後の乙女チックな表情、感情を抑え切れずに涙を流す哀切の表情、覚悟を決めて相手にも覚悟を迫る厳格な表情。トレードマークの大きな黒縁メガネの下にずっと埋もれていたかのような心の動きを全て表出させる。
衣装も楽しめる。これまで地味な和服姿のイメージが強かったが、この週には、明るい色の洋服姿や清楚(せいそ)な浴衣姿も見ることができる。特に、部屋で五郎と向き合う際の浴衣姿には、森の本来のかれんさがよく表れている。
制作統括の土屋勝裕チーフ・プロデューサーは「森さんが演じる梅は、ツンデレな感じがとても魅力的。森さん自身はとても気さくな人で、撮影現場では本当にみんなから妹のようにかわいがられている。かわいらしい妹役を演じてくれる良い俳優さんだと思っている」とたたえる。
森は2017年、Amazonプライム・ビデオ「東京ヴァンパイアホテル」で女優デビュー。19年、アニメーション映画「天気の子」(監督新海誠)のヒロインの声を担当し、注目された。今年1月公開の映画「ラストレター」(監督岩井俊二)には一人二役で出演。主題歌「カエルノウタ」も歌い、歌手デビューを果たしている。
そして、この「エール」で朝ドラ初出演。スタートの際には「夢だった連続テレビ小説に出演させていただけること、あこがれの二階堂ふみさんとお芝居させていただけること、本当にうれしい気持ちでいっぱいです」と喜びを語っていた。
これまでの脚本には彼女の才能の温存感があったが、いよいよ本領を発揮。今後、ドラマをさらに盛り上げていくことになるだろう。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。