天才キラー・豊島竜王、藤井2冠に6戦全勝 激闘171手大逆転勝ち
2020年10月06日 05:30
芸能
互いに飛車先の歩を突き合う相掛かりからの静かな序盤。過去5戦全勝の相手、しかしながら先行するすべが見つからない。攻めのきっかけすらつかめず突入した50手目で成桂を取らせ、51手目に▲7七桂とあえて跳ねる。8八銀と6八王の両取りとなる桂の割り打ちを誘って勝負に出た。だがその甘い誘惑に藤井は乗ってこない。肩すかしの指し回し。気がつけば成香2枚と金、銀で構成された重量攻撃で自王が追い込まれ、絶体絶命のピンチに追い込まれていた。
コロナ下の対局でマスクを途中で外した棋士は、敗戦を悟ると投了の発声に備えて再装着する。ところが、豊島は微動だにしない。藤井の指したわずかな緩手を見逃さず、自王のか細い脱出口を見つけ出す。103手目の▲2七王、119手目の▲同王。「後手の攻めが落ち着いて、(自分が)正確に指せれば」という状態まで押し返した。
1分将棋とあって必ずしも最善手を継続はできなかったが、必死に受けた結果が右辺中央部に馬・金・桂・桂で囲まれた堅城の完成。藤井の攻め手を切らせてからの逆襲は迫力十分だった。
これで6戦6勝の“藤井キラー”。「成長されている方なので、これからは厳しくなっていくと思う」と慎重な弁なのは史上最年少2冠へのリスペクトだろう。挑決リーグ2連勝スタートには「次もしっかり集中して臨みたい」。9、10日の竜王戦を挟み、15日には前期挑戦者・広瀬章人八段(33)との戦いが控えている。