渡辺3冠が解説 豊島竜王の粘りに藤井2冠が“ミスった”108手目が勝負の分かれ目
2020年10月06日 05:30
芸能
熱戦でした。特に中盤は内容が濃く、52手目の△8五歩が藤井2冠らしい強手で流れを引き寄せました。あのまま藤井2冠が勝っていたら、この一手を挙げるつもりでした。
60手目あたりから藤井2冠が優勢で、決め手がありそうな局面。詰将棋解答選手権5連覇の実績が示す終盤力を誇る藤井2冠です。ところがなかなか土俵を割らない豊島竜王の粘りに焦ってきた。
そのこと自体、あまり見たことがない。少なくとも、私との対局では見なかった藤井2冠の姿でした。
勝負の分かれ目として挙げたいのが107手目▲1五角(A図)の直後。藤井2冠は△1九金と豊島陣の香を取りましたが、ここは△3九飛が有力で以下、先手にも▲3七歩の粘りがあって簡単ではないものの、後手の勝ち筋でした。
▲1五角の時点で藤井2冠には3分、残り時間がありましたから、読み切るのだろうと思って見ていました。終盤で抜け出したらそのまま押し切ることが多いですし、苦手意識というのもあるのでしょうか。
特に注目度の高い藤井2冠の対局ですから、皆さん連敗していることは報じる。過去5連敗はインパクトのある数字だし、本人も気にしていたと思う。それを払拭(ふっしょく)するためにも早く1勝を挙げたかったでしょう。いつか途切れるのでしょうが、続いている間はプロ同士でも、相性は気になるものです。