「鬼滅の刃」興収ついに1位!324億円で「千と千尋」超え 公開72日、驚異的スピード更新
2020年12月29日 05:30
芸能
空前の大ヒットの背景には配給のアニプレックス、東宝による緻密な戦略がある。緊急事態宣言解除後、東宝は「千と千尋…」などスタジオジブリ作品4本をリバイバル上映し、映画館で映画を見る土壌をつくった。その後、「今日から俺は!!劇場版」「コンフィデンスマンJP プリンセス編」では、新型コロナウイルスの感染対策により1席空けて半分になった席数を、大幅にスクリーンを増やすことで対応し、大ヒットの実績をつくった。
そこで“真打ち”として登場したのが「鬼滅の刃」だ。公開週にはTOHOシネマズ新宿で11スクリーン中10スクリーンを使い1日41回上映という大胆な興行で大量動員につなげた。SNSでは「鬼滅」関連の投稿が、1~9月は月間64万~145万件で推移していたが、映画が公開された10月は436万件に激増した。
アニメに詳しい映画文筆の増當竜也氏は「昨年のテレビシリーズで人気に火が付き、LiSAの主題歌も独り歩きを始めた。コロナによる自粛で、ネットの動画配信でみんながテレビシリーズを見たことも引き金となった。ufotableが制作するアニメはクオリティーが高い。実はいちげんさんでも分かる構成の作品を作るのがうまく、幅広い層に受け入れられた」と分析する。
内容はもちろんのこと、段階的な入場者特典も効果的だった。公開初日からコミック「煉獄零巻」を用意。約1カ月後の11月14日からは2週間おきに4週にわたりイラストカードや、主人公・竈門炭治郎役の花江夏樹(29)ら声優陣のコメントを収録したスペシャルブックなどを配布した。26日から始まった4D版でも無限列車切符風キーホルダーを投入。コレクター心をくすぐり、リピーターを増やし続けたことも大記録につながった。
【鬼滅現象アラカルト】
◇1億2000万部 単行本全23巻の累計発行部数は歴代8位。1位はONE PIECEの累計4億7000万部(全97巻)。
◇520万部 単行本1巻あたりの平均は520万部。ONE PIECEの490万部を上回り、公式記録はないが、「歴代1位」との評価もある。
◇1~22位独占 最終巻発売前の11月末に発表されたオリコン年間コミックランキングの単巻別で、1~22巻が22位までの上位を独占。史上初めて。
◇缶コーヒー ダイドーがコラボした缶コーヒーは10月5日の発売から3週間で5000万本突破。追加で販売計画を1500万本上乗せ。
◇国会でも 菅義偉首相は衆院予算委で主人公のせりふにちなんで「全集中の呼吸で答弁させていただく」と発言。