40周年の「ピーターパン」主演・吉柳咲良「今年は一味違う」フック船長役・小西遼生「シンプルに面白い」
2021年07月13日 06:30
芸能
吉柳 できなかった1年間でできることを増やそうという思いでした。今年できることはすごくうれしい。1年目よりも緊張していますが、今までやってきた3年間よりも前向きです。
小西 僕は今回が初めてで、しかも森(新太郎)さんの演出になったので、オリジナル作品を作っている気分ですね。
――二人は初共演。印象は。
吉柳 本当にかっこよくて大人の色気を感じます。稽古場では毎回学ばせていただいてます。
小西 選ばれた女優さんでもあるけれど、等身大の17歳の女の子だと思う瞬間もたくさんあります。あと、めちゃくちゃ声がいいんです。声帯の出す音が鐘の鳴るような音。それが役柄にもぴったり合っていますね。
――東京公演は生オーケストラの演奏。見どころは多い。
吉柳 ずっと愛され続けている作品ですが、今年は一味違います。ミュージカルというものにとらわれすぎていないというか。体全体を使ってやっているし、変に“どう演じよう”とか考えなくなりました。誰が見るにしても分かりやすいし、見やすい舞台だと思ってます。
小西 見どころの連続の舞台。どの場も面白い見せ方があったり。フック船長という役柄は面白いキャラクターで、出てくるたびにエネルギーを使わなければならないですね。ちゃらんぽらんなキャラクターでもあるから全力で楽しんでます。
――稽古場の雰囲気は。
吉柳 私は壁を作りやすいタイプなので、最初は“対私”の感覚でしたが、森さんに早くに取り払ってもらって良かったです。それで早めに皆さんとコミュニケーションが取れるようになったと思います。みんな明るくて楽しい現場。稽古場にいるときは常にネバーランドみたいな感覚なので楽しいです。
小西 楽しいしフレッシュな感じ。年齢的には若めのチームですが、芸達者な人が多い。そういう意味でも、みんながパフォーマンスするのを見ているのもぜいたくな時間ですね。
――子どもたちへのメッセージ。
吉柳 見てくださる小さい子たちに何を思ってもらいたいというのはなくて、結果、何を思うんだろうというワクワクの方が強いですね。どう思ってもらっても結構。ピーターパンを好きでいてくれるのもいいし、フック船長が好きだったとか、タイガー・リリーやウェンディがいいなとか、いろいろあっていいと思います。純粋に見て楽しんでくれることが一番です。
小西 シンプルに喜劇としても面白い。表面的にすごく明るくて、ピーターの動きだったり、表情だったり、しゃべる声だったり。そういうものでも笑える。子どもたちが遊ぶ中でゲームの世界とか多いと思いますが、そういう世界が目の前に広がるような舞台。子どもは楽しめるし、親は何かを感じて子どもに伝えることができる作品です。
東京公演は8月1日まで。ほか相模原など4都市で公演予定。
◇吉柳 咲良(きりゅう・さくら)2004年4月22日、栃木県生まれ。16年のホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞し、翌17年に史上最年少タイの13歳で10代目ピーターパンに抜擢。19年7月公開の映画「天気の子」で声優に初挑戦。同年9月公開の映画「初恋ロスタイム」ではヒロイン役でスクリーンデビュー。血液型B。
◇小西 遼生(こにし・りょうせい)1982年2月20日、東京都生まれ。05年以降テレビ東京特撮ドラマ『牙狼―GARO―』シリーズに主演し話題に。舞台は07年「レ・ミゼラブル」、近年はミュージカル「生きる」、「フランケンシュタイン」、「ポーの一族」などに出演。血液型A。
▽ストーリー あるところに、いつまでも子どものままの男の子が1人いた。いたずら好きで、やんちゃでちょっぴり意地悪で、そして空を飛べるその子の名前はピーターパン(吉柳咲良)。ある日の夜、ピーターパンはダーリング夫妻(小西遼生、瀬戸カトリーヌ)の家に“あるもの”を取りに忍び込む。そこでダーリング夫妻の子供たち、ウェンディ(美山加恋)、ジョン(津山晄士朗)、マイケル(遠藤希子、君塚瑠華のダブルキャスト)と友達になったピーターパンは3人を連れて夢の国ネバーランドへと飛び立つ。ウェンディはネバーランドで出会った迷子たちの“お母さん”になり、タイガー・リリー(宮澤佐江)率いる森の住人たちとも仲良くなった。ウェンディたちは楽しい時を過ごしながらも、いつしか家が恋しくなり、迷子たちも連れてロンドンの家に戻ることに。ところが、フック船長(小西遼生=2役)率いる海賊たちが待ち構え、ウェンディたちを捕らえてしまう。全員で海賊との激しい戦いの末、ピーターパンとの最後の別れを惜しむウェンディたち。ウェンディは彼に「春の大掃除の季節にはきっと迎えに来てね。」と願う。時がたち、約束を果たしにピーターパンがやってくるが…。