NHKスペシャル「超人たちの人体」タモリの好奇心×山中教授の伝える力

2021年07月18日 09:01

芸能

NHKスペシャル「超人たちの人体」タモリの好奇心×山中教授の伝える力
NHKスペシャル「超人たちの人体」で番組のナビゲーターを務めるタモリと山中伸弥教授 Photo By 提供写真
 【NHKスペシャル「超人たちの人体」(下) 】 トップアスリートたちに密着しその強さの謎に迫るNHKスペシャル「超人たちの人体」が、19日午後7時30分に放送される。
 東京五輪・パラリンピックを目前に控えるなか番組は、水泳のケーレブ・ドレセル(米国)、パラ陸上のタチアナ・マクファーデン(米国)、マラソンのエリウド・キプチョゲ(ケニア)らメダルが確実視される選手たちに密着した。

 中でもタチアナ・マクファーデンは短距離からマラソンまで幅広い種目で活躍する。スピードと持久力を両立する秘密は何か。マクファーデンの脳に注目した。

 ディレクターの佐藤匠氏は「元々はロシアの児童養護施設出身。逆境の中で生き抜くことで培った意志の強さに秘密があるのではと仮説を立てた」と説明。そこでMRI(磁気共鳴画像装置)画像を合成し人体を立体的に分析することが可能な「シネマティックレンダリング」を用いて脳を分析。するとマクファーデンならではの脳の特異性を発見することができた。

 脳科学はまだ発展途上の学問だが、日々研究は進んでいる。佐藤氏は「実際に彼女の意志の強さを説明できる場所の成長が確認できた。人間の脳が適応していける力を持ち、求める姿に変われる凄さというのが分かってきた」と手応えをのぞかせた。

 またマラソンのエリウド・キプチョゲは、史上初の“2時間切り”への期待がかかっている。一般にマラソンの速さといえば心肺機能の強さが連想されるが、番組はある臓器へ注目した。 

 通常、どんなランナーも30キロ地点を過ぎるとペースが落ちるが、キプチョゲはむしろ加速する。佐藤氏は「最新の学説に則って調べると、ある臓器の能力の進化によってもたらされているものが見えてきた」と明かした。マラソン界を席巻するケニア勢。キプチョゲもその系譜に連なる1人だ。佐藤氏は「ある食生活に応じた適応の可能性がある。それは100万分の1ミリほどの世界を紐解くと見えてくるものでした」と解説した。

 最先端の科学を駆使して人間の肉体の神秘に迫る「人体」シリーズ。初回から番組でナビゲーターを務めているのがタモリと京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授だ。

 専門性の高い内容を扱うが、それを視聴者に届けるのが2人の役割。佐藤氏は「タモリさんは、常に視聴者の目線で、人体へのリスペクトを持って本質を見極めてくださる。山中教授は、少しでも多くの人に科学の世界を知ってほしいという思いで番組を引き受けてくださっている」と明かす。

 タモリの好奇心と、山中教授の伝える力。人体の素晴らしさを届ける中で2人のタッグは欠かせない。「今後は、細胞一つの世界を掘り下げ、さらにミクロの世界に迫っていきたい」と佐藤氏。今後の展開への期待も高まるばかりだ。
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