薬師丸ひろ子 デビュー作で共演の高倉健さんからの忘れられない冗談「食うなよ、食うなよ」そのワケは?
2021年11月23日 16:05
芸能
薬師丸が高倉さんと初めて会ったのが、映画の製作発表の日だった。「健さんが私の正面に立たれて『高倉です。よろしくお願いします』って、13歳の子供に健さんが出して下さった大きな手に自分も手を出して、握手した時のことを鮮明に今でも覚えてます。大きな人だなって」と懐かしそうに話した。
映画のラストシーンは、高倉さんが薬師丸をおぶって、戦車に立ち向かっていく場面。設定よりも5歳上だった薬師丸は、「当時13歳で、今と同じくらい背があったし、体重は少なかったと思うんですけど、健さんにこんな思い荷物を背負わせるのは…っていう」と、子供ながらに申し訳ない思いだったことを打ち明けた。
見る物すべてが初めてだった薬師丸に、高倉は優しく接してくれたという。「実によく面倒見て下さって。ロケに行った時は朝昼晩とご飯の面倒を見て下さって。いろんなものをごちそうして下さった」と振り返った。しかし、ラストシーンの撮影前には、こう言われていたという。「いつも冗談で『食うなよ。食うなよ。重くなるから食うなよ、食うなよ』って。ラストシーンは最後の方に撮ることになってたんで。よく食べてたんでしょうね」と笑いながら明かした。
高倉さんは掛け出しの若手スタッフにもよく激励の言葉を掛けていたという。「入ったばかりの若い子が、上の人に叱られながら、何をしていいんだか分からないけど走り回るしかないみたいなこととか、そういうことくらいのことしかできないような若いスタッフの子にも、頑張っている子にも応援するというか。頑張ってるなと思ったら、必ず声を掛けるし。『偉いな。よく頑張ってるな』って」。高倉さんの優しさに包まれた現場だったそうで、「将来、そこでみんなが自分が健さんと一緒に仕事できるように頑張りたいという、あふれる思いの積み重なりの一つが、現場の空気を作っていたと思いますね。『健さんと仕事できることが自分たちの一番の誇りなんだ』というのをひしひしと感じます」と振り返っていた。