明暗この一手 7六銀から中央に築いた藤井竜王の「負けない形」

2022年01月11日 05:30

芸能

明暗この一手 7六銀から中央に築いた藤井竜王の「負けない形」
第71期王将戦第1局第2日 A図 Photo By スポニチ
 【第71期ALSOK杯王将第1局第2日 ( 2022年1月10日    静岡県掛川市 掛川城二の丸茶室 )】 封じ手直後は穏やかな展開となったが藤井の狙い筋「▲5六角」を巡る攻防が午前中も繰り広げられた。のんびりできない渡辺は△7五歩~6五歩と先攻を目指す。じっくり受けに回るかと思われた中、藤井が敢然と▲5六角の切り返しを放つ。
 立会人の森内九段も「感触のいいタイミング」と藤井の判断を支持する。左辺の折衝を収めつつ右辺からの攻めを見た好角である。

 見逃せない点は設置を遅らせたことによる持ち歩の増加である。「持ち歩の数」「中央の角銀の手厚さ」を評価し昼食休憩時、森内九段の形勢判断は「藤井良し」。

 長いねじり合いが続いた午後、藤井が▲2二歩と際どいタイミングで渡辺陣に切り込むと返す刀で渡辺も△8八歩~3七歩成と藤井陣を崩しにかかる。残り時間が互いにすり減っていくが両者ギリギリでバランスを保つ。そして差は広がることなく秒読みへ突入。極限状態の中、▲7六銀(A図)が勝負将棋を象徴する一手。自陣の憂いをなくし続いて▲5七桂~4六銀と盤上の中央に駒を集結させスクラム完成だ。▲3六桂など攻め手が見える中、「負けない形」を選択した藤井。延々と続く福田三段の秒読みの声が対局室に響く中、藤井が力ずくで渡辺王を押しつぶした。(スポニチ本紙観戦記者)
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