明暗この一手 7六銀から中央に築いた藤井竜王の「負けない形」
2022年01月11日 05:30
芸能
見逃せない点は設置を遅らせたことによる持ち歩の増加である。「持ち歩の数」「中央の角銀の手厚さ」を評価し昼食休憩時、森内九段の形勢判断は「藤井良し」。
長いねじり合いが続いた午後、藤井が▲2二歩と際どいタイミングで渡辺陣に切り込むと返す刀で渡辺も△8八歩~3七歩成と藤井陣を崩しにかかる。残り時間が互いにすり減っていくが両者ギリギリでバランスを保つ。そして差は広がることなく秒読みへ突入。極限状態の中、▲7六銀(A図)が勝負将棋を象徴する一手。自陣の憂いをなくし続いて▲5七桂~4六銀と盤上の中央に駒を集結させスクラム完成だ。▲3六桂など攻め手が見える中、「負けない形」を選択した藤井。延々と続く福田三段の秒読みの声が対局室に響く中、藤井が力ずくで渡辺王を押しつぶした。(スポニチ本紙観戦記者)