“藤井を止めた男”副立会人・稲葉八段が見た 王将戦第2局
2022年01月23日 05:30
芸能
時間消費を抑えて指し進め、2日目に持ち時間を残す戦略との見立て。対して藤井も昨年来、相掛かりの採用例が増えたがデビュー以降、主戦場としたのは角換わり。両者の思惑がかみ合った第2局1日目だった。
2017年に名人挑戦経験がある稲葉は、渡辺とその挑戦権を争うA級で数々対局。そして藤井とも熱戦を重ねてきた。
今期王将戦挑戦者決定リーグ入りを争い、2次予選決勝を戦った。昨年6月のB級1組では藤井が2年4カ月にわたって継続した順位戦における連勝を22でストップ。名人挑戦権を争うA級昇級を懸け、13人で2枠を争うB級1組では現在、8勝2敗の藤井が首位、7勝3敗の稲葉が2番手で追走する。
昨年10月のNHK杯、藤井が深浦康市九段(49)に敗れ、終局後、机に突っ伏した対局では解説を務めた。感想戦を司会するため、対局室に入ると落胆を隠さない姿が視界に飛び込んできた。
あ
「勝ち負けよりも内容が良くなかった」。自身の指し手への後悔や憤りの表れと推し量るとともに、「あそこまでの悔しがり方は凄い」。一局に傾けるその熱量に改めて驚きを示した。
◇稲葉 陽(いなば・あきら)1988年(昭63)8月8日生まれ、兵庫県西宮市出身の33歳。井上慶太九段門下。08年4月に19歳でプロ入り。17年に名人戦挑戦。13年に銀河戦、20年にNHK杯で優勝。