関口武史氏 一歩も引かぬ藤井竜王の「5四角」
2022年01月23日 05:30
芸能
渡辺が▲7八金(19手目)と形を整えると藤井は静かに△7三銀(20手目)と上がり、戦型は「相早繰り銀」という、やや珍しい形となった。この戦型は左右の端歩の組み合わせが形勢に影響するため悩ましいのだが、本局では両者少考で素直に突き合う。互いに事前準備の確かさを裏付ける時間配分である。
序盤の折衝を終え、先攻するかに見えた渡辺が▲6六歩(A図)と足を緩めたのが印象深い。後手に先攻させてから▲2五歩(33手目)の継ぎ歩が渡辺用意の作戦だった。本譜▲2四歩(31手目)の押し込み、4六銀型に▲3七桂(45手目)と中央に厚みを加え、▲5六角(47手目)と開幕局のお返しとばかりに渡辺が自陣角を打ちおろす。展開によっては両サイドの端攻めまで見通した組み立てである。対する藤井は△5四角(48手目)。一歩も引く気配がない。(スポニチ本紙観戦記者)