氷川きよし「ヒットチャートに入っても犠牲多い」活動休止発表後初の公の場、ファンの前で心境吐露
2022年01月28日 05:30
芸能
この日の1曲目は、昨年のNHK紅白歌合戦で歌った美空ひばりさんの「歌は我が命」。ツアーの副題は自ら考えた「歩き続ける歌の道」だ。その大切なものから距離を置くという重大な決断。その理由にさまざまな臆測が飛び交う中、自身の正直な思いが口をついた。
「一歩外に出ると、全国どこにいたって“氷川きよし”と指をさされる。ありがたいことなんですけど、たくさん嫌な思いもした。そこから離れて、いったん今の自分を見つめ直したい」
2000年に22歳でデビュー。すぐに「演歌の貴公子」ともてはやされ、スターダムにのし上がった。この日は「高校3年生で演歌に出合って練習を積んだ。そこからポンポンとレールが敷かれてきちゃったから…」と、プライベートの自分に向き合う間もなかった人生を振り返った。
「華やかな裏には苦難があった」「(私生活を侵害する取材などで)人間扱いされてない」とも。その深刻さを物語るように「(休止して)“もう歌はいいや”ってなるかもしれないですよ。“もういいや”って…」と繰り返す場面もあった。“我が命”とまで考えている歌のない人生が頭をよぎるほどに、直面する苦悩が大きいことをうかがわせた。それでも「人に喜んでほしい、誰かを元気づけたい」という一心で、大きな犠牲を払いながら歌手として進化を続けてきた。音楽関係者は「休養はするが創作意欲はますます旺盛」と“復帰ありき”の休養とみている。
それを裏付けるように「歌は氷川きよしというものの生活をつくってくれたので、死ぬまで(歌う)」とキッパリ。「喜んでくださる皆さんがいらっしゃる限りは、どこにでも行きます」と話すと、客席からは歓喜の拍手が湧き起こった。ジャンル、性別の壁に挑み、何度も「限界突破」してきた氷川。しばしの休息を経て、凄みを増しての帰還を、ファンは信じて待つ。
≪困惑、尊重…反応さまざま≫氷川の報告にファンの反応はさまざま。デビュー当時からのファンという横浜市の女性(89)は「来年からどうしたらいいのか分からない。楽しみがなくなる」と困り顔。立川市の主婦、相良織絵さん(57)は「今日の歌を聴いただけで、どれだけ長年頑張ってきたのかはすぐ分かる。寂しいけど、kiiちゃん(氷川の愛称)が休みたいというなら尊重してあげたい」と思いやった。