慶大・鶴岡准教授 ロシアからウクライナへの「非ナチ化」要求 「最大の問題。どのように処理するか」
2022年03月18日 09:28
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またウクライナのゼレンスキー大統領の各国議会で演説する意味として「政府間議論もあるが、他の国の国民にも訴えたいという意味がある。各国議会は国民の代表が集まる場所なので、そこに直接メッセージを伝えるということ。また、国によってメッセージを変えている。響きそうなネタをしっかり入れてきている。これによって直接どこまで外国の世論が大きく動くかわからないが、ウクライナがなんのために戦っているのかということ、見捨てないでくれというメッセージを直接伝えることは、ウクライナとしても重視しているし、国際社会にも響いていると思う」とした。
トルコが停戦協議を提案しているものの、ロシアは明確に回答していない現状について「しばらく前にトルコで外相会談をして、あの時からトルコも相当動いていることがよくわかる。(トルコの)エルドアン大統領とプーチン大統領の会談では相当具体的な話をしたと伝えられている。中立化、クリミア主権の話などです」とし、「そこで興味深いのはロシアが『非ナチ化』を要求しているという点。荒唐無稽な議論で、ウクライナにしてみれば、言われること自体が嫌なことだし、憤慨ものだが、そもそもナチ化していないわけだから、非ナチ化のために大きな措置をとる必要はない。非ナチ化にコミットすることをもってロシア側が勝ち取ったものだとアピールできるんだとしたら、停戦協議の観点では、言い方は悪いが、使えるネタになるという可能性はあるのかもしれない」とした。
一方でウクライナにすれば非ナチ化に応じるということは、ナチ化を認めてしまうことになるため「そこが最大の問題。これをどのように処理するのか。もし他の条件よりも飲みやすいのであれば停戦協議を進める上でのカードとなるのではという見方もできるのかもしれない」と指摘した。
現在の戦況として、ロシアはキエフに関して地上部隊が全く前進できていないとされている。「結果として、ミサイルによる攻撃が増えている。しかも精密誘導ミサイルではなく無誘導ミサイルを使うとなると被害が広がってしまう。地上部隊が進んでないのはウクライナが健闘しているということだからいいことなんだけれど、結果として無差別攻撃が続いているのが現状」とした上で停戦協議を有利に進めるためにロシアが仕掛けてくる可能性について「化学兵器の使用が懸念されている。ロシアはそれをウクライナ側が使ったということにしたい、偽旗作戦を準備しているのではないかと言われている」と指摘。
「これをどのように阻止できるのか。ロシアが戦闘で負けを認めておとなしく引き下がるのか。国家の存亡がかかる判断になった時に化学兵器や核兵器の使用がオプションとして少なくとも理屈の上としては出てくる。それを本当にやるのかどうかということだと思う」と述べた。