「カムカム」森山良子 晩年の安子役に決まった理由
2022年04月06日 08:15
芸能
森山はキャスティング・ディレクターを務める日系米国人のアニー・ヒラカワとしてドラマに登場。5日放送の第109回で、アニーが出演したラジオで「るい」と語りかけた場面によって、アニーが安子であること、森山が上白石萌音から役柄を引き継いだことが明確になった。
制作統括の堀之内礼二郎氏は晩年の安子役に森山を起用した理由について「異邦人感がほしいと思った。最も大事だったのは、視聴者に『よくテレビで見る人』ではなく『初めて会う人』と感じてもらうことで、ドラマにはよく出ていない人がいいと考えた。そして、上白石萌音さんが演じて視聴者に愛されたヒロインを受け継ぐだけの魅力、人間的な強さが必要で、森山さんは代えがたい存在だった」と説明する。
メークの技術が発達した現在、上白石が老けメークを施して晩年の安子を演じることは不可能ではないだろう。実際、濱田岳は安子の兄の算太を晩年まで演じた。
堀之内氏は「最初から、晩年まで上白石さんに演じていただくという選択肢はなかった。ドラマは人間の表情が大切なので、老けメークで表現するのは難しい。ハリウッドのスーパー・メークアップ・アーティストにお願いすれば可能なのかもしれないが、朝ドラのスケジュール感の中で、初めから考えていなかった。メークでは出せない年輪があるし、いくら老けメークをしても体の動きが全く違う。濱田さんのように30代であのような動きができる役者さんはまれだ」と話す。
安達氏は役者としての森山の魅力について「初めてご一緒させていただいて、素朴さをずっと持っている方、少女性のある方だと思った。根っこには華やかさがあり、少女性とのバランスが絶妙だった」と説明。その上で「ご本人も安子というキャラクターをとにかく大事にしたいと思って、いろいろとこだわりを持って演じてくださり、私も没入して撮らせていただいた。あれだけ英語のセリフを話し、あれだけ走っていただいて、感謝の気持ちでいっぱいだ」と語った。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。