「ちむどんどん」黒島結菜の表情の芝居 「そこに暢子が生きている感じ」
2022年05月12日 08:15
芸能
11日放送の第23回で、良子は暢子を上京させるため、勤め先の学校で給料を前借り。自宅に戻ると、暢子にお金を手渡す練習をひそかに行い、その姿を妹の歌子(上白石萌歌)に目撃された。
松園氏は「良子は優等生だが不器用な人だと思う。あのシーンは、不器用なりに一生懸命やっている姿を撮ることが大事だと考えたが、川口さんが台本を読み込んで素敵なお芝居を作ってくださったので、それをそのままいただいた。見て気づいた方がいるかどうかは分からないが、あのシーンで、良子は鉛筆削りと貝殻を練習相手として置いている。対象物があった方が気持ちが入りやすいと考えた」と話す。
そして、迎えた第24回の家族の食卓の場面。暢子は良子の善意を知ったが、それを隠そうとしていた良子の思いをくみ、直接的な感謝を述べないまま、良子に視線を送り続けた。
松園氏は「出演者はモニターで撮影済みのOKテイクを見ることができるが、黒島さんは良子がお金を渡す練習をするシーンなどを見て暢子の感情を作り上げていったのではないだろうか。私としては、そのお芝居がちゃんと視聴者のみなさんに届くように丁寧に撮るだけだった。あのシーンは全員が素晴らしくて、家族の素敵さ、いとおしさが伝わればいいと思った」と話す。
あの場面で問われたのは、黒島の芝居の力量。ほとんどセリフがない中、黒島は表情の動き、目の動きで、良子に対する暢子の思いを表現した。
松園氏は「黒島さんはリアクションがしっかりしている。撮影中、ヒロインの表情だけをずっと撮り続けているカメラが1台あるが、どの瞬間も、素敵な表情ばかりで、そこに暢子が生きている感じがする。この先も暢子の表情は見どころになっていくと思う」と語った。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。