是枝監督 喝采12分間!2度目パルムドールに手応え 韓国映画「ベイビー・ブローカー」公式上映
2022年05月28日 05:00
芸能
育てることができない子供を親が匿名で置いていく「赤ちゃんポスト」を巡る人間ドラマ。赤ちゃんを連れ去って売ろうとする2人の男と、実の母親が共に養父母を捜す旅に出る。韓国映画の演出を初めて手がけたことでも話題だ。19年に主演映画「パラサイト 半地下の家族」がパルムドールに輝いたソンら、韓国を代表する俳優やスタッフらと全編韓国で撮影した。
カンヌ常連の是枝監督は4年ぶり6度目のコンペ部門出品。2018年に「万引き家族」で悲願のパルムドールを獲得して以来の出品で注目度も高い。ちなみにこの年の上映は、約9分間のスタンディングオベーションで迎えられた。
パルムドールの発表は28日(日本時間29日)。映画関係者は「後半の日程で上映されるのは注目度の高い有力作品」と話しており、機運は高まっている。
上映中は笑いが起き、終盤には涙を拭く人もいた。是枝監督は「(ラストシーンまで)集中力が途切れずにたどり着けたかなと思いました」と手応えは上々。12分間の拍手喝采については「12分は長いな」と照れくさそうに頭をかいた。
一夜明けた27日の会見で、是枝監督は作品に関し「人間のおかしみを表現したかった」と説明。ソンは是枝監督について「常にチャレンジを続け、驚かされる。日韓両国の文化の違いはあれど私たちは乗り越えられたし、だからこそ一層面白かった」と力を込めた。
《パラサイトは10分間》近年のカンヌのスタンディングオベーションでは、19年にアジア作品として2年連続の戴冠となった「パラサイト 半地下の家族」は10分間。昨年パルムドールのフランス・ベルギー合作「TITANE/チタン」は9分間だった。「ベイビー・ブローカー」はいずれをも上回る“評価”を得たことになり、受賞に期待が高まる。カンヌでの過去最長スタンディングオベーションは、04年パルムドール作品で、米国マイケル・ムーア監督(68)がブッシュ政権を批判した「華氏911」の20分超えと言われている。