「鎌倉殿の13人」柿澤勇人 新実朝像に重圧も“小栗マスク”&助言に感謝!横田栄司の役者魂も受け取った

2022年10月16日 06:00

芸能

「鎌倉殿の13人」柿澤勇人 新実朝像に重圧も“小栗マスク”&助言に感謝!横田栄司の役者魂も受け取った
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で3代鎌倉殿・源実朝役を熱演している柿澤勇人(スタイリスト:杉浦優、ヘアメイク:松田蓉子)(C)NHK Photo By 提供写真
 【「鎌倉殿の13人」源実朝役・柿澤勇人インタビュー(上) 】 俳優の柿澤勇人(35)がNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)にレギュラー出演中。鎌倉幕府3代将軍・源実朝役を好演し、文弱とされる従来のイメージとは一線を画す“新しい実朝像”に挑んでいる。ドラマは16日放送の第39回「穏やかな一日」から最終章へ突入。物語は主人公・北条義時(小栗旬)と実朝を中心にうごめく。柿澤に撮影の舞台裏を聞いた。
 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。鎌倉を舞台に、御家人たちが激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 柿澤は「劇団四季」出身。07年にデビューし、08年から「ライオンキング」などに立て続けに主演。さらなる活躍の場を求め、09年末に退団後、「スリル・ミー」「フランケンシュタイン」「デスノート THE MUSICAL」などの数々のミュージカルや舞台を軸に、映像作品にも出演。朝ドラ初出演となった20年前期の連続テレビ小説「エール」は、国民的歌手・藤山一郎さんをモデルにした山藤太郎役。名曲「丘を越えて」を歌い上げたことも記憶に新しい。

 今回演じる源実朝は、源頼朝(大泉洋)と政子(小池栄子)の次男(第4子)。長男(第2子)・源頼家(金子大地)の弟。義時の甥にあたる。

 建仁3年(1203年)、12歳にして3代鎌倉殿に就任。第34回「理想の結婚」(9月4日)、柿澤は“成長著しく”初登場。第35回「苦い盃」(9月11日)、実朝は後鳥羽上皇(尾上松也)の従妹・千世(加藤小夏)と結婚した。

 第37回「オンベレブンビンバ」(9月25日)、第38回「時を継ぐ者」(10月2日)、北条時政(坂東彌十郎)が鎌倉殿の座を譲る起請文を書くよう迫ったが、拒否。時政は「鎌倉殿の芯の強さ、感服いたしました。いずれは、頼朝様を超える鎌倉殿となられまする」。“新しい実朝像”の一端が示された。

 実朝役のオファーが届いた時の心境について、柿澤は「僕は実朝のことを今まで深くは知らなかったんですが、三谷さんは実朝に対して非常に思い入れがあって『世間にあまり知られていない“本当の実朝”を書きたい』とおっしゃっていて。凄くプレッシャーを感じましたが、たくさん資料と台本を読み込んで、現場で闘っているという感じです」と述懐。

 今作のチーフ時代考証も務める坂井孝一氏の著書「源氏将軍断絶――なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか」「東国の王権」などから最新の研究(和歌に逃避した文弱な“歌人将軍”の評価が見直され、幕府と朝廷の融合を図って安寧の世を目指した将軍)を学んだ。太宰治の歴史小説「右大臣実朝」や実朝の「金槐和歌集」も役作りに生かした。

 大河ドラマ出演は以仁王役を演じた12年「平清盛」、森蘭丸役を演じた14年「軍師官兵衛」に続き、8年ぶり3作目。伝統のドラマ枠に、過去2回は「台詞を噛んじゃいけないとか、極力NGは出さないようしないといけないとか、勝手に意識してしまって、変な緊張感に縛れられていました。それが今回は、失敗してもいいから、とにかくトライしてみよう、というアットホームな現場。チャレンジを受け入れてくださる監督さんがいらして、呼応するように、すべてのスタッフの方々が一緒に芝居に向き合ってくださる。もちろん『清盛』の時も『官兵衛』の時もそうだったんですが、当時はまだ僕に心の余裕がありませんでしたね」と回想。

 「やっぱり時代劇なので、絶対に所作は必要不可欠。ただ、所作にとらわれすぎて、演じる上で心が動きにくくなることもあるんです。そんな時は僕の表情を見て、小栗さんが察知して『カッキー、動きの段取りを一度、全部なくしてみようよ。カッキーの演(や)りたいように演ってみなよ』とアドバイスしてくださったり。役者自らがプランを持っていた方が、芝居が魅力的に、そのシーンが豊かになることを、後輩はもちろん、監督やスタッフさんにも提案してくださるので、とてもありがたいと思っています」。途中参加の柿澤のクランクイン時、今や“日課”となった小栗の“マスクに一言メッセージ”は「実朝ようこそ」。座長の気遣いに感謝した。

 第34回の終盤、鹿汁をごちそうになり、和田義盛(横田栄司)の館から帰った後。

 実朝「楽しい夜だった」

 義時「(燭台に火を灯しながら)何よりです」

 実朝「婚姻はどうなった」

 義時「(自分の結婚と勘違いし)ご存じでしたか(左手で扇ぐも火が消えない)。はぁ、悩みましたが(実朝が扇子を扇いで消す)。あっ、決めてしまおうかと思っております。はっ!ご無礼しました。お忘れください。政範殿はああいうことになってしまいましたが、ご婚姻は滞りなく進んでおります」

 実朝「私はやはり、そのお方をめとらねばらないのか。後戻りはできぬということか」

 義時「取りやめにしたいと仰せですか」

 実朝「いや、いい」

 柿澤がとっさに扇子を扇いで火を消したのは、実は本番テイクのアドリブ。「中泉(慧)監督も、そのままオンエアに使ってくださって。あれは面白い瞬間でしたね」と楽しげに振り返った。

 史実としては「和田合戦(和田義盛の乱)」(建暦3年、1213年)が控える。第38回「時を継ぐ者」(10月2日)、義盛は実朝のことを「武衛(ぶえい)」より上の官職「羽林(うりん)」と親しみを込めて呼んだ。意気投合した2人を待つ運命は…。

 「横田栄司さんの役者魂を、僕としても実朝としても受け取りました。もう何と言ったらいいのか分からないですが、とにかく壮絶、凄い回になると思います」と予告した。

 =インタビュー(下)に続く=

この記事のフォト

【楽天】オススメアイテム