【アニ漫研究部】漫画やアニメに描かれる“伝説の名人”と羽生九段
2023年01月23日 14:24
芸能
漫画編集者 白鳥士郎氏の原作ライトノベルが「予言書」と話題になったね。「一手損角換わり」が飛び出したのがタイトル戦の第1局第1日というのも同じだし、打ったのが「タイトル通算100期を目指す伝説の名人」という設定だったから。それ、ほぼ羽生さんじゃん(笑い)。
スポニチ本紙デスク 実際には、羽生九段が過去に打った手をモデルに白鳥さんが作品にして、それを羽生九段が今回の王将戦で再び打ったということだけど、いずれにせよ面白い話だ。
将棋記者 羽生九段といえば、昨年7月のJT杯でも、つのだじろう氏の「5五の龍」に出てきた「相中飛車」の戦型に持ち込んで話題になった。劇中では「千日手になることが多いから専門家は避ける」という趣旨の説明がされていた。
本紙デスク 「5五の龍」は1970年代後半の作品だけど、羽生九段の世代にはファンが多いよね。全盛期の中原誠十六世名人や大山康晴永世王将や、「ひふみん」こと加藤一二三・九段ら実在の棋士も登場していた。
アニメライター つのだ氏といえば「恐怖新聞」や「うしろの百太郎」などオカルトの印象が強いけど将棋はアマ四段で「5五の龍」は当時の棋士に高く評価された。欠点だらけの主人公・駒形竜が将棋を通じて成長していくんだよね。「5五龍中飛車」が得意技だった。
漫画編集者 最近の作品だと、渡辺明名人の奥さんである伊奈めぐみ氏の「将棋の渡辺くん」が興味深い。現役棋士の日常や考えが、奥さんの目を通して描かれている。藤井王将との対局など、実際に戦った人だからこその感想が面白かった。
将棋記者 羽海野チカ氏の「3月のライオン」は最近、クライマックス感が出ていて目が離せないね。先崎学九段が監修する盤上の戦いに引き込まれるのはもちろん、棋士たちが見せる勝利への渇望、敗北の苦しみの描写は、読んでて苦しくなるほど。それだけに、主人公で高校生プロ棋士の桐山零が、周囲との人間関係に救われていくのがホッとするというか、泣かせるよ。
本紙デスク 3月のライオンに登場する宗谷名人は、ラスボス的存在だけど、羽生九段がモデルとも言われてるね。羽海野氏が言及したことはないけど、SNSで尊敬を度々言葉にしてるし、その可能性はあるかも。
漫画編集者 1990年代の名作「月下の棋士」では、主人公・氷室将介のモデルが羽生さんと作者の能條純一氏と語っているようだね。いざ対局となると凄まじいオーラを発する勝負師にひょう変するさまを表したのだとか。
本紙デスク 孤高の強さは、多くの漫画家やクリエイターが描きたくなる魅力があるのかも。藤井王将もそんな存在になって、今後の将棋漫画に登場するかもしれないね。