グレース・バンブリーさんが死去　86歳　黒人オペラ歌手のパイオニア

　メゾソプラノのオペラ歌手で、黒人として初めて世界的に有名なドイツのバイロイト音楽祭に出演したグレース・バンブリーさん（米国）が7日、オーストリアの首都ウィーン市内の病院で死去。広報担当を務めるデビッド・リー・ブルワーさんが8日に明らかにしたもので86歳だった。 　AP通信によればバンブリーさんは昨年10月20日、オーストリアから米国に戻った際、乗っていた飛行機が着陸した際に心臓発作を引き起こしてニューヨーク市内の病院に入院。12月8日にオーストリアに戻ったが、その後も入退院を繰り返していた。

　バンブリーさんは1937年1月4日、米ミズーリ州セントルイスで鉄道員の父と教師の母との間に生まれ、高校の合唱隊で歌の実力を発揮し始めた。地元ラジオ局主催のコンテストで優勝。本来ならその“賞品”としてセントルイスの音楽学校への奨学金が与えられるはずだったが、黒人ゆえに入学を拒否された。

　その後、テレビ局のスカウト番組に出演。その実力が認められてボストン大とノースウエスタン大で本格的に音楽を学ぶようになり、ノースウエスタン大でドイツのオペラ歌手、ロッテ・レーマンに出会ってオペラを学ぶようになった。

　1961年7月23日にはバイロイト音楽祭に出演し、そこで高い評価を得ると翌62年2月には、当時のファーストレディーだったジャクリーン・ケネディ大統領夫人に招かれてホワイトハウスでも熱唱。

　私生活では1963年にポーランド人のテノール歌手と結婚したが1972年に離婚している。