西岡徳馬 周囲を一瞬凍り付かせた京都の夜 あの名優の「代表曲」を横から…
2023年07月17日 11:54
芸能
撮影後、共演していた津川雅彦さん(2018年死去)らに誘われて夜の街へ。2軒目でグラスを傾けていたところ、隣の部屋から津川さんに伝言が届いた。「津川さん、隣の部屋に勝(新太郎)さんが来てるんだけど、もし来る気が会ったら来いって、(勝さんが)言ってます」
もちろん、大先輩の誘いを断れるはずがない。合流しての宴は深夜3時まで及び、そろそろお開きというところで、勝さんが提案した。「じゃあ、オレが最後に座頭市を歌って帰るから」。座頭市といえば、1967年(昭42)に勝さんがレコードを出し、ドラマ、映画でも演じた代表作。普通なら、ワンマンショーになるところ、すでに泥酔していた西岡は「勝さん、座頭市はオレに任せてくれ」とありえない一言を放った。
「横を見たら、津川雅彦さんが“バカ”“バカかお前は”って言ってるんだけど、酔ってるから、まあいいやって」
ご機嫌な勝さんは一喝するどころか、「じゃあ、オレが1番を歌うから、お前が2番を歌え」と肩を組んでデュエット。西岡が歌う時は、勝さんが座頭市に扮して、横で演じ始めるパフォーマンスも見せてくれたという。
「津川さんが(勝さんの)付き人に“出ていって(勝さんに)斬られろ”って言って。出ていったんだけど、勝さんは(座頭市で)目をつぶってるから分かんないじゃん。そしたら(付き人が)えいって、(勝さんを)斬っちゃって」
思わぬハプニングで締めくくられた京都の夜。勝さんが先に引き上げた後、西岡は津川さんに「お前、バカか。勝新太郎の前で座頭市を歌ったのはお前が初めてだ」とたしなめられながら、「けど、よっぽどお前のことが好きなんだな」と言われたという。