「ディスカバー・ビートルズ」第2弾 杉真理と和田唱の音楽家ならではのDJぶり

2023年07月20日 08:00

芸能

「ディスカバー・ビートルズ」第2弾 杉真理と和田唱の音楽家ならではのDJぶり
「ディスカバー・ビートルズ」のDJを務める杉真理と和田唱(C)NHK Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】2020年4月から1年間、NHK─FMで続いた音楽番組「ディスカバー・ビートルズ」の第2弾が今年4月から毎週日曜午後1時から放送されている。
 ディスカバー・シリーズは19年度のマイケル・ジャクソン、20年度のビートルズ、21年度のクィーン、22年度のカーペンターズと続いてきた。長い洋楽史の中で人気アーティストは他にも数多く存在するだけに、本年度のビートルズ第2弾放送を予測できた人は多くないだろう。

 プロデューサーの中田淳子さんは「ビートルズは特別です。前回の1年間の放送が終わった時点で積み残しがあり、まだできるという思いがありました。リスナーの数もシリーズの中で最も多かったです」と説明する。

 この3年間で周辺に動きもあった。21年10月にアルバム「レット・イット・ビー」スペシャル・エディション、22年7月にドキュメンタリー・エンターテインメント「Get Back」、同年10月にアルバム「リボルバー」スペシャル・エディションが発売された。

 中田さんは「前回の放送を始めた頃より現在の方がリスナーの数が多い感じで、番組に寄せられるメッセージを見ると、若い人が増えた印象があります」と指摘する。

 DJは前回と同様、ミュージシャンの杉真理とロックバンド「TRICERATOPS」の和田唱。前回は杉が月に3回、和田が月に1回(5週ある月は最終週を2人で)だったが、今回はそれぞれ月に2回ずつになった。

 「お二人とも前回の放送を面白いと思ってくださっていました。前回はビートルズのアルバムを順番に紹介していく形だったので、発売当時のことをよくご存じの杉さんに月3回やっていただきましたが、今回は違う形になり、和田さんも月2回に意欲を示してくださいました」

 今回のテーマは月替わり。4月は前回の総括やこの3年間で起きたことなど、5月は楽器、6月は同月が誕生日のポール・マッカートニー、7月は同月が誕生日のリンゴ・スター。7月の最終週の30日はライブに焦点を当てる。

 「再び番組を始めるに当たり、切り口をどうするか、内容をどう濃くして魅力的にするかが課題でした。多くのファンは自分がビートルズに詳しいと思っていて、押しつけがましいものを嫌います。でも、杉さんと和田さはミュージシャンなので、ただ詳しい人とは視点が違います。これまであまり取り上げられていなかったような曲にも焦点を当て、実際に曲を聞いてみると、なるほどと思うことをおっしゃいます。二人とも、ビートルズの音楽が純粋に好きでやっているので、ファンの心に入っていくことができます」

 例えば7月16日の放送のテーマは「リンゴのドラムってうまいの?下手なの!?」。和田は楽曲を流しながらリンゴのドラムを分析し、「アイ・フィール・ファイン」に関して「普通のエイトビートではなくラテンのリズムでたたいている」と説明したり「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」に関して「とにかくぶっ飛んでいる。ドラムが怖い。儀式の打楽器みたい」と指摘したりした。総論として「センスがいい。曲の魅力をぐっと上げるドラム」と称賛。まさに音楽家ならではのDJぶりだった。

 「いつも番組にたくさんメッセージをいただいていますが、こんなことをやってほしい、こんなことを知りたいというのがありましたら、ぜひ送ってください」と中田さんは呼びかけた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。
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