中村倫也 消せない芝居への“愛” ムロツヨシからの「ある一言」が転機に 「ハヤブサ消防団」熱演中

2023年07月30日 08:30

芸能

中村倫也 消せない芝居への“愛” ムロツヨシからの「ある一言」が転機に 「ハヤブサ消防団」熱演中
ポーズをとる中村倫也(撮影・藤山 由理) Photo By スポニチ
 【カレイドスコープ】中村倫也(36)は実は熱い男だ。どんな役も淡々とこなす「カメレオン俳優」として人気を博しているが、くすぶっていた下積み時代に役者仲間の一言で生まれ変わった。テレビ朝日の主演ドラマ「ハヤブサ消防団」(木曜後9・00)では消防団員を好演中。熱い思いを語った。
 今作の主人公は、自身と重なるところがあるという。デビュー作で文学賞を受賞も、以降はスランプが続くミステリー小説家。試行錯誤しながら作品を書いても評価はイマイチ。都会での生活に疲れ果て、一念発起し、亡き父とゆかりがある田舎に移り住む。都会的であっさりとした性格ながら、自然豊かな集落を大切に思う役どころだ。

 「小説家なので少し職業は違いますが、共通する部分はありますね」

 自身は高校3年生だった2005年にデビュー。当初は映画、ドラマと立て続けに起用されたが、その後はオーディションにも受からず仕事が激減。主人公と同じく挫折の連続となった。

 一番荒れたのは24歳の時で、自身の不遇な境遇を時代のせいなどにしていたという。「俳優は仕事がない、=(イコール)需要がない、=能力と魅力がない、=存在価値がない。気がついてはいたけど、一度認めてしまったら、自分の全部が壊れると思いました」と、思い悩んだことを振り返った。

 くすぶり続ける中、当時から交友があった俳優ムロツヨシ(47)からの言葉が転機になった。一緒に食事した時に「お前はどうしたいの?何になりたいの?」と聞かれた。見ないように避けてきた部分を真正面から突きつけられ、その問いに答えることができなかった。

 「結局考えに考えて、最後に残ったのは“この仕事が好きだから”ということ。変なプライドは捨てて、リスタートすると決めました」。自分の弱さを受け入れて、役者という仕事に向き合った。

 18年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」でヒロインが思いを寄せる幼なじみを演じて一躍ブレーク。その後は数々の作品に引っ張りだこととなった。どんな役でも演じこなし、ついた評価は「遅咲きのカメレオン俳優」だ。「遅咲き、と言われることは全然構わないけど、まあ遅いですよね」。20年からは毎年、連ドラ主演作が途切れていない。これほどの売れっ子に成長したのは、芝居に熱く向き合えるようになったからだ。

 演技以外でも熱く、撮影中には自身のアイデアを「腐るほど」提案しているという。山中で撮影している時に現場にヒルがいると「靴下の中に長ズボンを入れたい」と希望。衣装としては入れない方が見栄えはいいが「夏の山でヒルがいるのに、入れないのは役として不自然」と、演じる中で気付いたことを伝え、リアルや生っぽさを追求している。根底にあるのは「面白い作品を作りたい」という思いだ。

 今作では消防団員として、作中で実際に消火活動をしている。第1話では、火災の場面で4分間の一発撮りを成功させた。過酷な鎮火シーンに臨んだが、自身にとって消せない“炎”はあるのか。「芝居への愛…ですかね。そんなこと言うように見えないでしょ?(笑い)でも、くべようと思わなくてもずっと燃えていて、だから今がとても楽しいです」。中村の心は、誰も鎮火できなさそうだ。


 ≪8年ぶり池井戸潤氏作品に出演≫「ハヤブサ…」の原作は池井戸潤氏。中村が同氏の作品に出演するのは15年のTBS「下町ロケット」以来、8年ぶり2度目。今作の撮影現場で初めて会ったといい「顔面タトゥーだらけの人が来たらどうしようかと思ったけど、印象通り理知的な方だった」と振り返る。物語は、山あいの小さな集落が舞台のホラーミステリー。「消防団員たちのヒューマンドラマだと思ってたので驚いた。大きな謎が軸にあるストーリーで、楽しんでほしい」とアピールした。


 ◇中村 倫也(なかむら・ともや)1986年(昭61)12月24日生まれ、東京都出身の36歳。05年、映画「七人の弔」でデビュー。14年に舞台「ヒストリーボーイズ」で初主演を果たし、15年に読売演劇大賞の優秀男優賞を受賞。好きなお笑いコンビは「バナナマン」。1メートル70。血液型A。
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