市川猿之助被告が保釈 76日ぶりに姿見せ5秒間頭下げる 当面は監督者と制限住居で生活か

2023年08月01日 04:30

芸能

市川猿之助被告が保釈 76日ぶりに姿見せ5秒間頭下げる 当面は監督者と制限住居で生活か
保釈されて原宿署を出る市川猿之助被告(撮影・郡司 修) Photo By スポニチ
 両親への自殺ほう助罪で起訴された歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)被告(47)が31日夜、勾留先の警視庁原宿署から保釈された。救急搬送される2日前、舞台に立った5月16日以来初めて報道陣の前に姿を見せた。この日、東京地裁が保釈を認める決定をし、代理人が保釈保証金500万円を納付した。現在も精神的に不安定な面があるとの見方が強く、しばらくは関係者が用意した都内の住居で生活するとみられる。
 明治座での公演に出演した5月16日から76日。猿之助被告は、午後8時27分ごろに勾留先の原宿署の通用口を出た。黒いスーツに黒いネクタイ、髪の毛は少し伸びた印象だった。報道陣に向けて5秒間、深く頭を下げた。その後、原宿署に向けても一礼。言葉は何も発さず、迎えのワンボックスカーに乗り込んだ。

 猿之助被告は28日に自殺ほう助罪で東京地検に起訴され、同日中に代理人が保釈を請求。この日、東京地裁が保釈を認める決定を出し、猿之助被告側が保釈保証金500万円を納付した。東京地検が決定を不服として準抗告したが、地裁がこれを退けた。東京地裁の保釈の決定について、元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は「証拠隠滅や逃亡の恐れがないため」と説明した。

 猿之助被告は逮捕された当初、精神状態が不安定だったため保釈の判断に影響するとみられたが、周囲によると「今は精神的にも安定していて、質問への受け答えもしっかりしている」という。事前に弁護人が保釈後の環境設定は行っており、亀井弁護士は「制限住居で生活し、監督できる人が周囲にいることが条件。もちろん体調面も考慮されるが、弁護人が裁判官に“自殺を図る恐れはない”と説明しているはず」と指摘した。

 猿之助被告は当面、関係者が用意した都内の住居や、体調の問題もあり療養施設で過ごすとみられる。歌舞伎関係者は「松竹が猿之助被告の面倒を見ていくことになるが、一家心中を図った人を現場の自宅に帰すということは考えられない」と話している。

 起訴状によると、猿之助被告は父の市川段四郎(本名喜熨斗弘之)さん、母の喜熨斗延子さんの自殺を手助けするため、5月17日に東京都目黒区の自宅で向精神薬を両親に服用させ、同17~18日に死亡させたとしている。調べに対し、猿之助被告は自身のハラスメント疑惑が週刊誌に報じられたことを受け、「3人で次の世界に行こうということになった」と供述した。

 嵩原安三郎弁護士は初公判の期日について「通常ならば8月下旬から9月。ただ、事実関係を争う部分が多いため、準備でもう少し遅くなるかもしれない」と解説。猿之助被告にも自殺の意思があったとみられ、判決にも執行猶予がつくと予測されている。


 ≪所属事務所「公判の推移見守る」≫ 猿之助被告が保釈されたことを受け、所属事務所は31日、公式サイトで「公判の推移を見守っていく」とするコメントを発表した。同社は「多大なるご迷惑、ご心配をおかけし、改めて深くおわび申し上げます」とした上で、「司法による最終的な判断」が示されるまで、会社としての見解は控えるとした。

 ≪保釈保証金過去最高額は牛肉偽装事件20億円≫ 保釈保証金の過去最高額は、牛肉偽装事件で実刑が確定した浅田満元食肉販売会社会長の20億円。日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告は15億円を納付したが、その後レバノンに逃亡したことに伴い全額没収された。かつては、各裁判所窓口での現金納付だったが、2007年から、事前に利用者登録をするとインターネットバンキングなどによる電子納付ができるようになった。他に、裁判所の当座預金口座に振り込む方法もある。

 ▽自殺ほう助罪 人の自殺を手助けし、容易にした場合に適用される。同意を得て殺害する承諾殺人罪や、依頼を受けて殺害する嘱託殺人罪、自殺を唆す自殺教唆罪と同じく刑法202条で規定している。法定刑は6月以上7年以下の懲役または禁錮。未遂も処罰される。過去には2人で自殺しようと練炭を燃やし、生き残った男性に適用された例などがある。

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