吉永小百合 “配信”の時代に映画界へ恩返し「もうひと踏ん張りしなきゃ」

2023年08月16日 05:30

芸能

吉永小百合 “配信”の時代に映画界へ恩返し「もうひと踏ん張りしなきゃ」
主演映画「こんにちは、母さん」の公開を控える吉永小百合(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 女優の吉永小百合(78)が主演映画「こんにちは、母さん」で下町の母を生き生きと演じた。9月1日の公開を前に取材に応じた吉永は人工知能(AI)による技術革新や配信が幅を利かせる現状にも触れながら、手作りの大切さを強調。「映画はぜひ劇場で見てほしい」と60年を超える女優生活で培ってきた映画人の矜持(きょうじ)を示す一幕もあった。(佐藤 雅昭)
 山田洋次監督(91)とのタッグで発表してきた「母べえ」、「母と暮せば」に続く「母」3部作の集大成となる一本。永井愛さんの戯曲を基に隅田川沿いの下町の人々の暮らしが、一つの家族の物語を軸に活写された。寺尾聰(76)演じる牧師に恋心を抱く場面も見どころだ。

 離婚危機、会社では人事部長として神経をすり減らす日々を送るなど、公私に悩みを抱える息子を大泉洋(50)が演じた。「プロデューサーの事務所で初めてお会いしました。ケーキを買って行き、“何がいいですか?”と尋ねると、大泉さんは“ショートケーキ”とおっしゃった。少年ぽく、人懐っこくてどんどん距離が近くなっていきました」

 123本目の出演作にして初めて孫がいる設定。永野芽郁(23)が演じたが、「気立てが良くて、可愛くってとてもやりやすかった。“何歳からやってるの?”と聞いたら“8歳から”と。私より先輩」と、おばあちゃんは笑った。ちなみに吉永がラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビューしたのは12歳だ。

 90歳を過ぎて90本目のメガホン作に取り組んだ山田監督には頭が下がる。「コロナの時期もあったし、監督より年上のスタッフの方がご病気になられたりして、つらかったと思うんですよ。今回は若い人が多かったのですが、みんな一生懸命で、うれしかった」

 一番若い助監督は九州出身の20代の女性。「お母さんが心配して、撮影所にみえたんです。凄い可愛い子で、“大丈夫ですよ、お母さん。一生懸命やってますからって”と私言ったんです」

 ヤング層もたくましく育っているが、映画も配信される時代だ。「映画館で見てもらうことはますます大変になるのかな?と不安にもなりますけど、それでもみんなで力を合わせて努力することが大事」と強調。「AIに圧倒される世の中ですが、人間の心のぬくもりを描き、映画館でみんなで笑いあったり、一緒に感動したりできるような雰囲気をつくりたい。そのためにもうひと踏ん張りしなきゃ。それが60年以上、この世界でやらせてもらっている自分の、映画の世界への恩返しです」と力強い言葉で締めくくった。
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