大和田獏　妻・岡江久美子さんとの別れ　入院中は「携帯を握りしめ」　「完全防備の服」で1人悲しみの対面

　俳優の大和田獏（72）が4日放送のテレビ朝日「徹子の部屋」（月～金曜後1・00）にゲスト出演。妻で女優だった岡江久美子さん（享年63）との別れについて語った。 　岡江さんは2020年4月に新型コロナウイルスによる肺炎のために他界した。他界後3年が過ぎたものの、大和田はテレビで岡江さんとの別れについて語るのは今回が初めてだとし、「公にはそうなんですけれど。なかなか話す気持ちになれないっていうのが正直な気持ちで。まあ徹子さんの前なら話せるかなということで、きょうは寄せていただきました」と告白した。

　司会の黒柳徹子が岡江さんについて「コロナの最初の発熱があった時には、あなた地方公演中でいなかったんですって」と話を振ると、大和田は「そうなんです。地方へ出て、3日目か4日目にメールが来て、熱が出たと。それできょう医者に行ってきたと。で、医者からこの時期だから疑った方がいいと。だから数日様子をみましょうと。でもまだ熱が続くようなら、PCR検査をしましょうって言われたと」との連絡があったとした。

　「それを聞いたら僕も熱が出て来たような感じになって」。公演のプロデューサーに事情を説明すると、「中止しましょう。すぐ帰ってください」との言葉があり、翌日には自宅へ戻った。

　「熱が出たっていうのが2日目ぐらいなんですけど、その前からどうも彼女は我慢してて熱があったんだと思うんですよね。あまりに見たら調子が悪そうなんで」。岡江さんはあと2日後に病院に行くと話したが、「そんなんダメだ」とぴしゃり。翌日休診だった病院を開けてもらい「お医者さんが検査をしたら、血中酸素（飽和度）が低いと。先生も少し青くなって、“入院した方がいいかもしれない”って言って」と入院できる病院を探すことになった。

　最初は受け入れてくれる病院はなかなか見つからなかったが、ようやく見つけた大学病院に救急で行くと、「ICUに入りますと。人工呼吸をつけるんで、全身麻酔になるんで意識はなくなるんですけども、1週間か2週間」と入院することに。「あとはお見舞いにも行けないし、何も持っていけないし、ただ、1日に1回夕方先生の方から電話が来て様子を聞かせてもらえるっていう日々が続いたんですよね」と振り返った。

　「その時が一番つらい時期だったんですよね。精神的に」と大和田。「で、10日ぐらいたった時かなあ。電話が来た時に、“最悪を覚悟してください”って言われて」との状態となり、「それから何日かもってくれて。入院から18日目だったかな。朝、電話があって。“先ほど亡くなりました”っていうことで」と他界したことを知らされたとした。

　「その前まではもちろん面会はダメで、亡くなっても会えないっていう話だったんですが、少し変わって1人だけ会えますって言うんで。娘も考えたんですが、ここは僕が行くしかないと思って行って。完全防備の服をつけさせてもらって」と対面することに。遺体は袋に入れられていたが、顔の部分は透明で見ることができたとし、「まあそれだけだった。その後会って帰って来て。娘に電話して。で、テレビにも出てた遺骨で帰って来ることになっちゃったんですけどね」と話した。

　「だからまあ、その10何日間か、2週間ちょっと。あんまり覚えてないですねえ。日々、ずっと携帯を握りしめて、いつかかってくるか分からないんで。ずっと張りつめてる日々でしたね」と回顧した。

　「やっぱりけじめっていうのは必要なんだなと思いますね。今までお葬式なんてねえって思ってましたけど、あれは大事な一つの節目として必要なものなんだよねっていうのを。娘も“ずっとけじめがつけられない”って言ってましてね」。葬式はできなかったが、一周忌には娘の大和田美帆が企画し、配信での音楽葬を実施。「なんか区切りをつけたいっていうんで、お別れの会できないんで、娘が企画して配信で。2人で、音楽葬を。ピアノを弾いていただいて。彼女（岡江）が好きだった曲を流して。これが我々が唯一できた送別の儀式でしたね」としみじみと話した。

　「でも大事でした。これやって良かったなと思ってます」「特に娘が一つ区切りがつけられたんで」と語った。「あとはやっぱりこのことでいっぱい周りの人たちからいろんな思いをいただいたので。優しい思いをね。本当に人の優しさがありがたかったし、その優しい人に囲まれて生きていこうねって。自分たちもそういう人に優しくできるようになろうねって思えたし」と話すと、「娘がよく言うんですけど、人生には無駄なことはないんだって。それを母が教えてくれたんだって彼女がよく言うんですけど、それは思うようにしてます」と力を込めた。