市川中車 悲しみこらえ舞台へ 父親・猿翁さん死去も休まず ファン「お父さんと雪解けしていて良かった」

2023年09月16日 11:59

芸能

市川中車 悲しみこらえ舞台へ 父親・猿翁さん死去も休まず ファン「お父さんと雪解けしていて良かった」
市川中車出演の京都南座での歌舞伎公演「新・水滸伝」は朝から大勢のファンが詰めかける Photo By スポニチ
 不整脈のため13日に83歳で亡くなった歌舞伎俳優・市川猿翁(いちかわ・えんおう、本名喜熨斗政彦=きのし・まさひこ)さんの長男で俳優の市川中車(香川照之)(57)は16日、京都南座で公演中の「新・水滸伝」に出演した。
 13日朝に猿翁さんが亡くなってからも、15日までの4公演は休むことなく出演。劇場関係者は「普段通りに舞台に上がっておられるようでした」と気丈な姿を慮った。

 ファンも猿翁さんの訃報に驚いた様子。姫路市から親子で訪れた中車ファンの松本有佳子さん(63)は「ビックリしました。(両親が)離婚して、親子として絶縁というのがありましたね。でも、雪解けしていてよかった」と語った。中車の息子で猿翁さんの孫にあたる市川團子(19)のファンという大阪市の会社員・田村由貴さん(24)は「おじいさまが亡くなられたんでおつらいでしょうが、團子さんの姿をしっかり見てきます」と話した。

 猿翁さんと香川の母親で女優の浜木綿子は1965年に結婚。香川が誕生したが、1年余りで別居生活に入り、68年に離婚。息子の香川は浜が引き取った。夫婦仲に溝ができた原因は日本舞踊藤間流名取(のちに紫派藤間流を創始して家元)で、16歳年上の女優藤間紫さんとの猿翁さんのダブル不倫だった。藤間紫さんの離婚が85年に成立し、猿翁さんは00年に藤間さんと再婚した。香川は89年に俳優デビュー。25歳になった香川が猿翁さんの公演先に会いに行ったが、猿翁さんは「私は家庭と決別した瞬間から蘇生したのです。だから今の僕とあなたとは何の関わりもない。あなたは息子ではありません。今後二度と会うことはありません」と突き放したことで知られる。だが、2011年9月、自身の2代目猿翁、香川が市川中車を襲名する際の会見には同席し、40年以上断絶していたとは思えない親子の姿を見せた。その際、猿翁さんは「浜さん、ありがとう。恩讐(おんしゅう)のかなたにありがとう」と浜に感謝の言葉を述べたことが大きな話題となっていた。

 中車は猿翁さんの訃報について、15日に松竹を通してコメントを発表。「長く険しく、それでも『夢』に邁進(まいしん)した歌舞伎俳優人生でした。一生涯をかけて、新たな道を切り開き、如何(いか)なる時も、天翔(か)ける心を持って、成し遂げた俳優だったと思います」と悼んだ。孫の團子も「私にとって祖父は偉大なる存在で、目指すべき目標でした。まだまだ教えてほしいことがたくさんありましたが、とても残念でなりません。この先は、祖父が大切にしていた『天翔ける心』『夢見る力』を忘れずに、精進して参(まい)りたいと思います」とコメントしている。

この記事のフォト

【楽天】オススメアイテム