猿翁さん元妻が追悼 浜木綿子「私は今度こそが、本当のお別れでございます」
2023年09月17日 04:55
芸能
愛憎まみれる関係だった。4歳年下の猿翁さんとは、宝塚歌劇団退団直後の1961年にミュージカルで共演し出会った。三代目團子を名乗っていた猿翁さんはまだ慶大4年生。共演の翌月に歌舞伎公演に招待され、その美しさに魅了された。すぐに交際がスタートし、4年後の65年2月に結婚。同12月には香川が誕生し、順風満帆かに思われた。
だが、幸せだったのはこの時まで。猿翁さんは日本舞踊家の初代藤間紫さんとのダブル不倫に走り、香川が1歳の時に家を出た。一切会うことのないまま、68年に離婚。浜は当時を「悔しくて、悔しすぎると涙が出ない。大声上げて叫びたいと何度も思った」と振り返っている。その後は再婚せず、愛情の全てを香川に注いだ。
変化があったのは11年。香川が歌舞伎界入りを決め、猿翁さんと同居を始めた。12年5月、浜は香川に稽古場に呼ばれた。何も知らずに行くと猿翁さんがいた。「照之を立派に育ててくれてありがとう」と感謝され、誕生石のオパールのネックレスを贈られた。別居から46年後の再会だった。翌月に新橋演舞場で行われた二代目猿翁、九代目中車の襲名披露公演の初日、浜はすがすがしい気持ちで客席から見守った。
長く憎んだ元夫。完全な雪解けとは程遠かったが、「会えたことも奇跡」と再会を喜んでいた。この日のコメントでは、歌舞伎界に新たな風を吹かせた猿翁さんを「偉大なる歌舞伎役者」と表現し「安らかに、お休みくださいませ」と言葉を贈った。