AKB48の新星・久保姫菜乃 「センターに立つことが大前提」
2023年10月06日 08:26
芸能
「アイドルをやるからには自分のことをいろいろな人に知ってもらいたいと思いました。どの世代の人でも思いつくグループと言えばAKBで、祖父や祖母の世代の人に『知っているアイドルは?』と聞いても『AKB』という答えが返ってきます。それでAKBに入りたいと思いました」
──子供の頃、AKBをどう思っていましたか?
「かわいい集団という感じでした。私はフリフリの衣装が好きで、それを着ている女の子が好きでした。メンバーで言えば小嶋陽菜さんが好きでした」
──部活は何をやっていたのですか?
「中1から5年間、合唱部に入っていました。名前は合唱部なんですけど、文化祭などでミュージカルをやっていました。高校の最後の時に『レ・ミゼラブル』とか」
──もともと歌うことが好きなんですね?
「歌は好きです。結構ハモっていました」
──AKBのオーディションの歌唱審査はどうでしたか?
「好きな曲を歌って良かったので、とにかく印象に残るような曲を歌いたいと考えました。だから、恥ずかしいんですけど、King Gnuさんの『白日』を歌ったんです。AKBの曲とかaikoさんの『カブトムシ』とかを歌う人は多いだろうから絶対に被らないようにしようと思ったんです。結構恥ずかしい記憶です」
──「白日」は難度が高いのでは?
「オーディションの前は聴くだけだったんですけど、歌おうと決めてからは学校帰りに毎日カラオケに行ってました。毎日1時間くらい『白日』を繰り返し歌うんです。練習を始めた頃はちゃんと歌えなくて、途中で3回くらい、止めようかと思ったんですけど、印象に残りそうな曲が『白日』以外に思い浮かばなくて、続けるしかないと思いました。うまいかへたかは別として、自分の表現として聴いてもらえるくらいになるように2週間以上練習しました」
──実際にオーディションで歌った時はどうでしたか?
「待っている間に手が汗でびしょびしょになっていてマイクが滑り落ちそうでした。自分で思い描いていたようには歌えませんでしたね」
──今年4月に18期研究生のお披露目公演がありましたが、その時はどんな心境でしたか?
「不思議な感じでした。歴史のある場所なので、ここに立っていいのかという思いがありました。踊りに不安なところがあったので、立った瞬間は不安でした」
──公演を重ねた現在はどうですか?
「お客さんとの距離が近くて、凄い熱量が直に伝わってくる独特の感じにまだ慣れていないです」
──「OUT OF 48」のオーディションを勝ち抜けると思いましたか?
「正直、思っていませんでした。自分の魅力を表現できる先輩たちとの差を感じていて、最初の方で落ちると思っていました。最終審査の練習期間も自分が追いつけていないことを感じながらやっていたので、選ばれた時、理由が思い浮かびませんでした。歌がうまくいっていれば、それで選ばれたと思うかもしれないですけど、自分ではうまくいったと思っていなかったので」
──歌っている時のたたずまいが良かったです。
「歌う時の動きは決めていました。このフレーズの時にこの動きをするとか、このフレーズの時はここを見るとか決めていたので、それは良かったと思います」
──選ばれた時の気持ちはどうでしたか?
「名前を呼ばれた時、『私は久保姫菜乃だっけ?』と思いました。ほかに誰も立ち上がらないので私のことだと思って、うれしいという気持ちはあったんですけど、選ばれたことを実感したのはグループ名が決まった時ですね」
──アンレイムのプレデビューシングル「I am I」を歌うことになった時はどんな心境でしたか?
「歌い出しを任せていただけて、正直、その瞬間がいちばんうれしかったです。歌い出しを任せてもらえるということは、ファースト・インパクトとして認めてもらえたということなのかなと思いました。実際に歌ってみると難しかったんですけど、成功させなくちゃいけないという気持ちで練習に取り組みました。ただ音程が合っていればいいというものではなく、みなさんに聴いていただくものとしてインパクトと魅力を詰め込みたいと思いました。いちばん重視したのは曲の世界観です。歌詞の意味の説明に、夜に車を運転しているイメージと書いてあったので、実際に夜、親に車に乗せてもらって曲を聴いて、その気持ちを考えるところから始めました。表現したいものがあるのに自分の技量が追いつかないところがあって、そこをカバーするのが大変でした」
──メンバー7人のイメージカットの真ん中に立った気持ちはどうですか?
「シンプルにうれしいです。もちろんバランスもあると思うんですけど、それでもやっぱり、ちょっとでも自分の存在感を出せるのはうれしいことだと思います」
──AKBに入る前からセンターに対する思いはありましたか?
「やっぱり、どの曲も曲名と同時にセンターの人の名前が思い浮かびます。それだけセンターは重要なポジションだと感じていたので、そこに立てるような存在になりたいという意識はずっとあります」
──18期研究生のお披露目公演の前にスタッフが「センターをやりたい人?」と聞いたら8人全員が手を挙げたそうですね?
「そうなんです。みんなが同じくらいの熱量を持ってやれていて、いいライバルだなと思います」
──研究生のままアンレイムでデビューする思いはどうですか?
「正直、研究生という立場なのにアンレイムでどんどん進んでいるということには戸惑いもあります。でも、アンレイムの活動をAKBに還元できている感じもありますし、短い期間ながらもAKBで得た知識をアンレイムに生かせている感じもあるので、良い相乗効果になっていると思います」
──両立は大変なのでは?
「あまり大変という思いはないです。アンレイムをやることによって、振りを覚えるのが早くなったり、ダンスのスキルが上がったり、マイクを通して歌うことに抵抗がなくなったりしているので、両立しているという感じではないです」
──AKBのメンバーとしての目標は?
「センターに立つことが大前提です。センターになって、その曲を誰でも知っているようにすることが目標ですね」
──かつての「ヘビーローテーション」や「恋するフォーチュンクッキー」のようなヒット曲を作るということですね?
「自分がセンターになった曲が代表曲になってほしいです」
──センターに必要なものは何だと思いますか?
「訴えかける感じですかね。アイドルなので、キラキラしている感じとか歌とかダンスは当たり前にやらなくちゃいけないことで、それ以上に、自分が歌っている曲の意味や感情を訴えられる力が必要だと思います。見ている人、聞いている人がそれに応えてあげたいと思うようなものを放ち続けることが大事なんじゃないでしょうか」
──センターには強い個性が必要だと思いますが、自分自身をどんな人だと思っていますか?
「周りから『不思議だね』と言われることが多いです。なぜだろうと思うんですけど、私は何でも想像から入るタイプで、曲を歌う時も想像してから始めるので、想像したことを周りに放つところが自分の個性なんじゃないかと思います。『何を言っているのか分からない』と言われることもありますけど」
──最後にファンへのメッセージをお願いします。
「失敗しても励ましてもらえることが個人的にいちばんありがたいたです。温かく見守っていただいてありがとうございます」
◇久保 姫菜乃(くぼ・ひなの)2006年2月2日生まれ、長野県出身の17歳。今年4月に18期研究生としてお披露目され、7月に劇場公演初日。9月にオーディション番組「OUT OF 48」からデビューするアンレイムのメンバー(活動名は「HINANO」)になることが発表された。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。