「ブギウギ」趣里 ノリツッコミの切れ味
2023年10月17日 08:18
芸能
新人のために卑下して言ったつもりの「才能ない」が新人に肯定される辛い展開。しおらしく「そうそう。才能ないのに…」と答え始めたが、すぐに態度を変えて「こっらあ!先輩やぞ!!」と声を荒らげた。
お笑いで言うところのノリツッコミ。その切れ味の良さが光った。
制作統括の福岡利武氏は「ノリツッコミは作者の足立紳さんがこだわって脚本に入れたものです。あのような場面で、スズ子だったら、相手の言葉に乗っちゃうだろうし、その後に突っ込むだろうということです」と説明する。
脚本に書かれたものを良い場面にするのは演者の力量次第。趣里のノリツッコミの切れ味が良くなければ笑いは生まれない。
福岡氏は「実際に収録現場で笑いが起きていました。趣里さんは笑いの心が分かっていて、絶妙な間、絶妙な表情でノリツッコミをします。もともと良い勘をしていて、笑いのセンスがある人だと思います。僕自身もお気に入りの場面になりました」と称賛する。
笑いを支えているのは大阪ことば。趣里は東京出身だが、関係者によれば、昨年10月のヒロイン発表の後、翌11月から大阪ことばの練習を重ねていたという。
福岡氏は「大阪ことば指導の先生が非常に面白い方なんです。先日も現場であいさつしたらヒョウ柄の服を着ていて、そういう空気感も趣里さんのお芝居に生かされているかもしれません」と指摘する。
この作品は終戦直後のヒット曲「東京ブギウギ」などで知られる歌手の笠置シヅ子さんをモデルにしたもの。ヒロインを演じる趣里には笠置さんのような歌唱力、踊る力が求められ、10月2日放送の初回で実際に趣里は「東京ブギウギ」を踊って歌って見せた。今後も歌と踊りが大きな見どころになるとみられるが、朝ドラにはやはり恋愛や笑いの要素も必要だ。
福岡氏はスズ子のコミカルな場面について「この先も結構出てきます。見どころになるのではないかと思っています」と明かす。
趣里のコメディエンヌぶりに期待する。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。